映画『MEG ザ・モンスター』感想
公式サイト:
https://warnerbros.co.jp/movie/megthemonster/
久しぶりのサメ映画。
元祖『JAWS』、本家『DEEP BLUE SEA』以降、サメ映画で超大作は特に無く、B級(むしろZ級?)映画の定番になっていた気がする。(※1)
このサメ映画は、お約束の流血や喰い千切られるシーンが無い。メガロドンが大きすぎて、犠牲者は丸呑みされてしまう……
ショッキングな描写が無い分、気楽に見れる映画だった。
❗❗問答無用でネタバレあり❗❗
あまりまとまった感想にならない俳優語りは以下。
- 水泳選手だったというジェイソン・ステイサム。特技を遺憾なく発揮していた。
- テレビドラマ『HIROS』でワープができる能力者・ヒロ役を演じたマシ・オカ氏を久しぶりに見た。相変わらずいい役者。
海洋問題
映画というものは基本、時事問題をそれとなく盛り込む。今回強く意識されるのは海洋問題だった。
物語に関わるというよりは、取って付けたような感じが否めなかったけれど……
ハリウッド映画にも中国資本が積極的に入ってきているので、今回の舞台は主に中国海域だった。
日本とは近隣国のため、私には非常にデリケートな問題を孕んでいるものを突きつけられた……
研究施設が中国から沖合200海里先ーー公海上と言いたいのだろうけれど、日本の200海里と重なる部分もあり、海底資源開発で揉めている。海洋研究施設は、海面上がどうみても海洋掘削施設で……東シナ海の日中中間線にあるガス田開発施設を思い出された。
キーワードだけ、ネタ程度で取り上げられた捕鯨問題。私個人の解釈は映画『おクジラさま』で考えた通り……思い出してまた怒りがこみ上げた。
サメ映画なのでフカヒレ密漁問題も上げていた。こちらもキーワード程度だったけど。
密漁者はメガロドンに喰われた後で、手だけだったけど……密漁問題の裏側については台詞でさわりだけだった。
様式美
サメ映画鑑賞の魅力とは、様式美――死亡フラグをはじめとするお約束――にあると思う。
それを踏まえ、フラグを適度に折っている映画だった。
つまり鑑賞者がサメに関する知識を“知っている”前提で話が進む。
医療責任者のヘラー博士は転覆した船から離脱しわざと波を立てて泳いで自ら犠牲になる。
サメに囲まれた時は出血しないこと、波音を立てないこと、じっとしていることが危機回避につながることを、説明しない。(※2)
死亡フラグを折る、海のプロフェッショナルたち
海に関わるプロ達で構成されたキャラクター。考えもなしにバカな行動をとって当人または誰かに死亡フラグが立つという展開が、無かったこと。
例外は海に関わらない投資家・モリス(レイン・ウィルソン)だろうか。彼はひたすら道化役に徹していて、それ故の死亡フラグもしっかり立っていた。
あまり泳げないDJ(ペイジ・ケネディ)も道化役だが…彼にはフォロー役が必ずそばにおり、どの助言に従うため、助かる。
トシ(マシ・オカ)の死も自己犠牲ではなく、外部から衝撃を受けることは目に見えていたため、ハッチを閉めて衝撃に備えるのは普通の手順だ。
ただ相手が想定外に悪かったため、トシ自身それは予測していたし、殉死してしまうのがだが……
全てが淡々と正しく運ぶ。
それは定番の死亡フラグを折っているだけの話なのだが。
最終的には斃す訳だが、メガロドンの遺骸は他のサメに喰われ、全ては海の藻屑となる。
サメが海の掃除屋であることもしっかり描写して、綺麗に終わらせた映画だった。
ツッコミどころ
それにしても…なぜ、メガロドンはクジラの歌に惹かれたのか……確かにクジラを襲ったけれど……
隔絶された深海の古代海の中にクジラはいないと思うのだが?
救助の際に空いた“穴(GATE)”――温水の水の流れ――から出てきたメガロドンだというなら、クジラの鳴き声を知らないと思うのに……
ジェイソン・ステイサムが潜水艦救助作戦でメガロドンに遭遇した可能性を示唆しているので、隔絶した古代海から、何かの拍子に度々メガロドンが出てきたりしていたのかもしれない。(妄想)
そんなツッコミどころがあるのがサメ映画の魅力。
ご愛嬌、ということで。
ジェイソン・ステイサムが頑張ってメガロドンの背中に付けたビーコン。
海水浴場襲撃前に外れるシーンがあったけれど、意味があったのだろうか?
捜索隊がメガロドンを見失ったようではなさそうだったし……本編でカットされたシーンがあるのだろうか……?
そういえばチラシのメガロドン、本編のそれより大きすぎ。
これもサメ映画のお約束だった(笑)
- サメ映画35連発!『MEG ザ・モンスター』公開記念特集|U-NEXT
https://video.unext.jp/feature/cp/shark35/ (2018/10/26確認) - 相次ぐサメの襲撃、防衛策は? | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/062200153/ (2018/10/26確認)