映画『モンスターハンター』感想

白黒イラスト素材【シルエットAC】

映画『モンスターハンター』チラシ

過去日記を絶賛消化中……


公式サイト:
https://www.monsterhunter-movie.jp/ ( リンク切れ。2022/11/12確認。 )

映画館で見るにあたり、ネタ枠だと割り切って観に行った。
何故ならポール・W・S・アンダーソン監督作品は大抵、“(ミラ・ジョヴォヴィッチ)のPV”傾向が強くなるから……実写版『バイオハザード』シリーズがそうだったし……
しかし『バイオハザード』1作目(2002年)はまだ(他の作品と比べ)その傾向は薄かったかな…あの時はCAPCOMが協賛していたためか、ゲームの雰囲気を想起させるものがあった。…もっとも、ラストの輸送コンテナ列車の形がCAPCOMゲームのそれらしい程度の話だけど。

他映画のオマージュ映画?

ここまでゲーム『モンスターハンター(以下、モンハン)』に対するリスペクトが無いとかえって清々しいのかもしれない。
……結局この映画は“(ミラ・ジョヴォヴィッチ)のPV”であるなら、(ミラ・ジョヴォヴィッチ)要素以外に手をかけないのは、選択と集中という視点からは“正しい”と解釈できるのだから!(反語)

『モンハン』の醍醐味と言えば、狩猟生活のようなゲームシステム。
ただ「巨大モンスターを斃す」のではなく、「狩り」だ。狩ったモンスターから素材が採れ、武器や防具(コスチューム)になったり換金できたり。

ネルスキュラ(蜘蛛の群れ)に襲われるシーンには、あのトラウマ映画Top10に入っている『ミスト』(2007年)のシーンを思い出す。
発煙筒を光源にし、身体から子蜘蛛が食い破って出てくるところ、発煙筒を使った火炎放射器など。

トニー・ジャー演じる“ハンター(名前は出てこない)”が、家族を模した木製人形に祈りを捧げているシーンは『グラディエーター』(2000年)の主人公のそれを彷彿させる。布に包んで肌身離さず携帯しているところも。

他にも何かあった気がするけれど…ちょっと断定できない。

異文化に対するリスペクトの無さ

ミラ・ジョヴォヴィッチとトニー・ジャーの格闘シーンがあるのは、格好いいからという理由は分かるけど、避難小屋での喧嘩は余計だったと思う。仲直りのきっかけがチョコレートなんて…前時代すぎるし……
チョコレートで釣るようなコミュニケーション…(GHQ占領下の日本を思い出すね☆)
未知の文化に遭遇して、それが自身の文化よりも下と見なすようなやりとりに感じられる。それこそ大航海時代のような…いや、そこから1900年代前半までそんな風潮は続いたし、過去映画のオマージュ映画と捉えると、そうした前時代的な表現なのか……?
しかしポリティカル・コレクトネスに厳しい昨今、考慮しても良かったのではないか?仮にも地球の時間軸は現代なのだから。

今時、この表現で良いのか?
実際、中国人をネタにしたギャグで顰蹙を買って、中国市場での興行収入が振るわなかったようだし……(※1)

そもそも、原作ゲームへのリスペクトの無さも大きいと思う。
ポッケ村が存在しないモンハンなんて……

その他雑感

ディアボロスをはじめ、モンスター達の質感は良かった(これがゲームへのリスペクトなのだろうか?)。リオレウスが巨大化してた。
できれば音楽もゲームのサウンドを使って欲しかった。モンハンメインテーマ〈英雄の証〉が恋しい。
アイルーが分厚いお肉を焼くくらいしか、出てこなかった……どうせならあの分厚いお肉を食べたい。

現代兵器(銃器、オスプレイなどの航空機から装甲車、戦車まで)が出てきて、それらがリオレウスに対して全く歯が立たないという表現は面白かった?けれど。
しかし…何で現代兵器でモンスターと戦わせるシーンを描きたかったんだろう?私には想像ができない。

最後はまさかの「俺たちの戦いは、これからだ!」でエンディング……
ようやくアイルーがお供(共闘)してくれそうな雰囲気で終わってしまった。

……私が観たかったのは、重力無視した大型武器を振り回して共闘する様と、自給自足?な異世界生活だった、と観終わった後に思った。

……もう、完全に異世界設定にして、ミラ・ジョヴォヴィッチが異世界送りになるパートなど無ければ良かったのでは?
ロン・パールマンとトニー・ジャーの無駄遣いだった。


度々思うのだが、こうした原作ありきの作品は「原作が好き」ないし「ゲームプレイ経験者」じゃないとその魅力を作品に落とし込めない。 2000年代初頭にこうした失敗を繰り返して、ハリウッド映画関連の制作会社は認識していると思っていたのだが、相変わらず作っている事に衝撃を受ける。

この手の話になると、どうしても引き合いに出してしまう『サイレントヒル』(2006年)。
あれはゲームの世界観を破壊せずむしろ格段に上げた。ゲームでは通常の世界から異界へ行くときは場面転換がブラックアウトするだけだった。しかし、映画では次第に血と錆に浸食、腐食してゆく様を丁寧に表現していた。それまでのゲームスペックではできず、映画だからこそできた表現だった。
ゲームへのリスペクトも上手で、クリーチャーのみならず同じシーンを再現していたので、感動しかなかった。
ストーリーもオリジナルで素晴らしかった。ゲームの『サイレントヒル』の世界観によく合っていたし。

2022年10月に、新しい『サイレントヒル』シリーズの制作発表があった。
その中には映画版『サイレントヒル』二作目の話も!楽しみしか無い。

……ついうっかり『サイレントヒル』礼賛になってしまった。

  1. ハリウッド版『モンスターハンター』中国で批判殺到したセリフ、全世界でカットに 監督が謝罪
    https://www.cinematoday.jp/news/N0120377(2022/11/12 確認)
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