春季香茶会

白黒イラスト素材【シルエットAC】
 先日、和の文化をたのしんで来ました。
浅草寺伝法院にて。

伝法院

初心者でも入りやすい席であるとの事だったので。

お席は薄茶、聞香、濃茶の三席。

聞香は「三景香」

初めに「松島」「橋立」「厳島」の香を聞く。その後、三種と試しの無い香「舟」をうち混ぜて焚き出された香を聞いて、その順番を当てるというもの。
これが難しいもので、違いは判るものの、順番が合わなかった…
しかし良い香りで、それだけで満足。

自身で不思議だと思ったのは、いたずらに鯱張ったりしなかった事。
どの席に入っても、心地よい緊張があった。
今更ながら、そんな事を考えていた。
学生の頃、クラブ・サークル活動のものでさえ、緊張していた事を思い出した。
いえ、あれは自信の無さから来る不安だったか。
思い返すと苦笑が漏れる。

しかし、お茶の作法を知識程度にしか持ち合わせていないものなので、情けない。
…こんな事を言うとお茶の家元のご令嬢に叱られてしまいそうだが……

お茶や和菓子の造形の美しさに感嘆しつつ、舌鼓を打つ。
そして床の間にある工芸品を拝見するのが楽しい。
薄茶の席の掛軸は海を鎮めた観音像と百花の王である牡丹、精緻な細工が施された蛤。
濃茶の席では五徳と書かれた書。

寺の境内にある所以か。
それらが独特なものの様に思われた。

先日書いた『霊柩車美学考』に通ずるのだが、“異界”なのだ。

伝法院の大書院は格子状の天井だった。寺の造りだ。
そして銭湯の脱衣場の天井にもある。北千住にある大黒湯もそうだった。
これは格天井と呼ばれる。寺院や格式ある建造物に使われる。
先の日記に書いたように、唐破風が極楽浄土の入り口ならば、これは極楽浄土そのものを表すということか。

五重塔を望む

実際、木々に囲まれた日本庭園は、外の喧騒から隔絶されている。
鳥の囀りや、桜は散ってしまったが、新緑芽吹く木々の姿は、都会で生活していると意識しづらい。非日常の世界となっている。

席に参加し終わった後、感謝の意を込めて浅草詣。
浅草寺前・仲見世通りで白鷺の舞に遭遇。
http://www.dentan.jp/saijiki/sihita_f41.html

白鷺の舞

席入りしていた時に聞こえていたお囃子はこれか。
白鷺に扮した踊り子…
それは平安の情景。
聞香の事もあり『源氏物語』を想起する。

浅草神社では丁度神前式が行われていた。

浅草…
お礼参りを終え、必ずと言って良い程行くGallery efへ。
http://www.gallery-ef.com/
そこでは、原爆の被爆体験をされた方々の肖像写真展だった。
皆、高齢の方々である。
日常生活の一幕を撮った写真。しかし、その横に彼らが受けた戦争と被爆体験が綴られている。

今、戦争の悲惨さを忘れないように、必死に断片を記憶しようとしている。
ただ、嫌悪と報復と憎悪の感情を後世に残したく無いと思った。

ふいに、引き込まれる。
浅草という異界。
非日常にいた1日でした。

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