GODDESS ピュ〜ぴる

白黒イラスト素材【シルエットAC】
JUGEMテーマ:個展

ピュ~ぴる『GODDESS』チラシ
終わってしまった個展感想……

展覧会詳細ページ:
https://www.diesel.co.jp/art/pyuupiru/

渋谷・DIESEL ART GARELLYにて。
https://www.diesel.co.jp/art/

ピュ~ぴるさんの作品は、2007年に横浜美術館で開催された『GOTH―ゴス―』展以来。
仮装したポートレイトにアウトサイダーアートな匂いを感じて、そのサイケデリックでエネルギッシュな作風に、とにかく衝撃を受けた。
その頃の私にとって“GOTH”とはエロスとタナトスであり、死への情景(ダウナー)の方が強かった。
暴力的な自己主張とも言える“生への慟哭”(アッパー)を理解できていなかったので、強烈なインパクトに惹かれると同時に退けたくなったのを覚えている。
過去の私は、ピュ~ぴるさんの性転換に着目し、男の性の“死”を強く意識し、女の性への“新生”がこれから始まるのだと考えていた。

その女性性が、今回、どの様に顕現しているのかが気になった。


ピュ~ぴる『GODDESS』会場風景1
立体作品のような衣装とそれを纏ったポートレイト作品が展示。
ポートレイトの女神たちは、化粧を施され、象徴物や布、泡に覆われ、もはや誰かもわからない。
シャーマニックな女神の姿だった。
あらゆる地域に残る、仮装することで神や悪魔になる祭り(儀式)を彷彿させる。
現代ではコスプレによる変身願望やキャラクターとの同一化だろうか。

題名にはギリシア神話の女神たちの名前が充てられている。
そこからイメージを膨らませることができる。
現代風に解釈されたその姿。

ピュ~ぴる『GODDESS』会場風景2ピュ~ぴる『GODDESS』会場風景3

洗練された衣装デザインというよりは野性的な手工芸のような作品群。

女神的(神話)、聖母的(聖書)なものがごった煮になっていて、それは根源的な女性性へと繋がっているようだった。

GOTH―ゴス―』展では攻撃的で呪術的な印象を受けていたが(強烈なインパクトのせいか?)、今回の展覧会ではちょっと落ち着いた、祈りにも似たものになったように見えた。

以前の作品では、誇張(むしろ膨張、肥大した)ような円形のデザインとサイケデリックな色彩も相まって、局部強調のような性的衝動の臭いがした。
それが落ち着き、冷静になったような……むしろこれからの自分をどう形作っていくのか、理想に向けて様々な女神たちに意見を仰いでいるような想像をしてしまう。


ピュ~ぴる『GODDESS』会場風景4
会場でも上映されていた、ドキュメンタリー映画『ピュ~ぴる』鑑賞。

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ご友人でもある松永大司氏が、ピュ~ぴる氏に密着した8年の軌跡。
普通のドキュメンタリーと異なる印象を受けるのは、友人との何気ない会話をしている姿が映し出されているためだろうか。
ピュ~ぴるさんの人生の大きな転換期の姿が凝縮されている。

多くは補足されない、淡々と語るピュ~ぴるさんとその家族。
日本人特有か、多くを語らない、語れない。
語られない多くの葛藤は抑圧されているように思う。

ただ、その葛藤が、ピュ~ぴるさんの服飾(アート作品)と、術後の涙としてあふれ出ていた。
去勢手術の話で、『GOTH―ゴス―』展にあった、下半身の写真を思い出す……

映画の終盤、横浜トリエンナーレのインスタレーションで、ピュ~ぴるさんは組まれた櫓の上で男性から女性へと変わってゆく過渡期の身体を露わにする。
その中性的な身体を不思議そうに見上げる観衆。
その中で、ピュ~ぴるさんのお兄様だけ驚愕した表情をしていることが印象的だった。

ピュ〜ぴる 公式サイト:
http://pyuupiru.com/

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