ルミネのCM炎上に思うこと

白黒イラスト素材【シルエットAC】
JUGEMテーマ:ジェンダー問題

見たいとも思わないが、炎上したCMの動画は現在では非公開になっている。

『ルミネの“女性応援CM”が炎上──女性をけなす第1話に非難殺到、一方2話目では……』
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1503/20/news077.html

去年の夏に同じく炎上したCM『旭化成の家事ハラ』に似たものだと思う。
すなわち、‘世間の認識を、広告制作側が読み間違えてしまった影響が大きい’という事だ。
旭化成の特設サイトは未だにがあるのだが。(解せぬ。)
「妻の家事ハラ」広告はなぜ集中砲火を浴びたのか?世間が納得できない家事・労働シェアの空論と現実
http://diamond.jp/articles/-/56945

私がこういった内容に嫌悪感を抱くのは、男性による女性差別という視点だけでなく、他者と比較する競争原理(男性原理的なもの)に偏りすぎている事も大きい。
女性が他者と比較される(これは女同士や対異性からの視点を含む)されるためだけに、おしゃれをするのではないと私は考えている。
だが今回のドラマは冒頭からそれを感じさせないため、齟齬が生まれ、気色悪く感じるのだ。


おしゃれは自己表現であるという切り口を忘れて、他者に媚びるためにあるような描き方をした事が反感を招いた事は言わずもがな。

ルミネをこじらせて――「ありのままで」からの逆走
http://bylines.news.yahoo.co.jp/soichiromatsutani/20150321-00044065/

一体、製作者はどういった視点で、この様な展開のものを作ったのかと頭が痛くなった。
ちょっと調べてると、ニュースソースとしては以下のものしか見つけ出せなかった。

【ルミネ炎上CM】広報へ制作意図を直撃 「女性の変わりたい気持ちを応援したかった」
http://wotopi.jp/archives/17605

上記を読んでも、どの辺で応援しているのか書いてないのでわからない。
そもそも女性の変わりたい気持ちは、あんなセクハラな男に屈辱的な言葉を言われて芽生えるものなのか?
自分と傾向も趣味も違う別の女性と比較されて……
女性だったら、やはり“ありのままの自分”を肯定した上でそれを磨く(変わりたいと思う)だろう。

これは明らかにマーケティング、売る側からの視点が大きく出てしまったという事は言うまでもない。
広告を打つ側が考えた「顧客がいかに買ってくれるか」の机上の空論、裏返しとしての“動機”であり、売る側とCM制作サイドによる後付けの“口実”が露骨に表現されている。

私には何だか「ネタ切れで企画期日まで間に合わず、ステレオタイプな展開になりました。」という感じが否めない。
時代遅れな男性目線。

これは冒頭に過ぎず、最後に起死回生があるのではないか?という指摘も見受けられたが、起死回生の予感が、1話目は男性の意見への迎合のようであるし、2話目は“こじらせ女子”の描写で予感が無い。
短い尺の中でこれが全てなので反感しか湧かない。

私は、このCMの制作サイドに女性が居なかったのではないかと疑ってしまう。
ステレオタイプの物語の展開――冒頭で主人公が不当な差別や偏見、コケにされて、そこから起死回生をして、そうした者たちを見返すという展開は, 他人と比較し優劣を競い合わせるという“競争原理”的で、どうしても“男性原理”的なものを意識させる。
競争原理は男性原理的なものに拠ると私は考える。

参考:『恥や差別(感)や劣等感はどこから来るのだろうか
http://d.hatena.ne.jp/mayumeto/touch/20100927

私は女だが、“女性だから”おしゃれを楽しむ訳ではない。

ルミネの広告は、若い女性のオンナゴコロを突きまくる素敵な広告展開で、凄く目を惹いたし、ワクワクするものも多かった。
http://magazine.lumine.ne.jp/?cat=31
2012年の楳図かずお先生絵は意表を突かれたので、今でも覚えている(笑)
http://magazine.lumine.ne.jp/?p=567

もう一方の広告の方が好感が持てる。

キャッチコピーが「自分を打ち破れ」であり、不定称であることも大きい気がする。


勝手な想像だが、今回のCM炎上は消費者の広告のネガティブキャンペーンへの嫌悪もあるのだろうか?
不安を煽られ企業のCMに躍らされること無く、本当に必要な物・事を見極めるのは消費者として大切な姿勢だ。
そうだとしたら、私は良い傾向だと思う。
だが、上記ウートピの記事に“実際に動画と同じような経験をした女性が多いのでは?”という指摘から思うに、今回の反感はセクハラの延長として見ているのが圧倒的なのだろう。
幸いにも、私は職場でこうした発言を男性から受けた事は無い。
ウケ狙い(これこそモラル・ライセンシングだと思う)で男性がこうした発言を本当にしているとしたら、それはとんだお門違いだ。

憤っていたが、ネットで見かけたユーモア。
https://note.mu/nakamuraching/n/nb24d6e6afc47

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