東欧アニメをめぐる旅 ポーランド・チェコ・クロアチア

白黒イラスト素材【シルエットAC】
JUGEMテーマ:展覧会

東欧アニメをめぐる旅 ポーランド・チェコ・クロアチア
神奈川県立近代美術館 葉山館にて。
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/
~2015/1/12まで。

東欧の、個性あふれる人形たちによるストップモーション・アニメーションの魅力。
チェコだけでなく、ポーランド、クロアチアのものも見れる。
時代により表現するもの、人形以外のセル画アニメーションの描画方法、物語る対象の変化……そのの多様さを見る。
最近のCGによるものも展示されていた。

神奈川県立近代美術館 葉山には初めて行った。電車でプチ旅行がてら。
長閑な海辺にあり、とても綺麗な美術館だった。


会場では、展示されているセル画や資料の実際のアニメーションを見る事ができる。
全部見ようと思うと、朝から来場した方が良い。会場は広いのでゆったり見ることができる。

幾何学にデザインされたキャラクターは興味深かった。
アンクルトリスのような人物キャラクター、四角形の犬、2つの三角形を並べた猫。
単純な構造だからこそ、センスやデザイン性が際立つ。

現在の日本における主たるアニメーション制作会社の現場がどの様になっているか、私は知らない。だが、セルを手彩色する所はもう殆ど無いだろう。
そんな中で、油性パステル、コラージュ、そしてアクリル絵具を用いたセル画は素朴さを感じさせる。
職人の技、“手の仕事”の魅力だ。

気になった作品についての感想。
クロアチア共和国のアニメが凄く印象的だった……


ズラトコ・ボウレグ監督『』(1971)

原作はイソップ物語。
【あらすじ】
孤独な若い詩人が猫を拾う。彼と猫は仲良くなる 。
ヴィーナスが孤独な彼を哀れんで、猫を美しい人間の女にした。若い詩人は猫の女に魅了される。
彼女の気を惹こうと贈り物をするために、私財を売り払いだし、遂には殺人まで犯してしまう。
見かねたヴィーナスがネズミを放つと、猫の女の本性が表れ、それを見た若い詩人は目を覚ます。

サイケデリックなテクスチャと、能面を思わせる猫の女の顔は異国趣味的で、アート感があふれている。LSDでの理想郷にトリップしたようだった。

会場で上映されていたもの(『代用品』『ワン・ワン』『マキシ・キャット』)、それ以外にもセル画のみ展示されていたものがDVDにまとめられていた。
ニュー・アニメーション・アニメーションシリーズ ザグレブ・フィルム作品集 [DVD]
ザグレブ・フィルム作品集
http://www.geneon-ent.co.jp/anime/NAA/contents/hp0013/index00130000.html
赤き死の仮面』など、濃厚な絵のタッチが正に動く絵画のようだ。
機会があったら観てみたい。

クレシミル・ズィモニッチ監督『アルバム

柔らかなパステルで彩色された女性がアルバムを開くと物語が展開する。
回想と夢、彼女の一生のヴィジョンは夢と理想と現実が混在している。
極めて女性的な世界観なので、惹かれる女性は多いのではないだろうか。
若い独身の女性である。幼女の頃に犬に襲われた時、白馬に乗った騎士が表れ、彼女を助ける。それを馬に乗って探す少女。ようやく邂逅し家庭を築くも、老いると夫(騎士)に先立たれ、再び孤独な女性になる。
途中、車を飛ばして男性たちを轢いて蹴散らしていくなど、アグレッシヴな所に爽快感がある。
同監督の『蝶々』も拝見したかった……

チェコは私の中にイメージがあるためか、その視点からしか、今は見ていない。
ビロード革命前夜。社会主義の閉塞感からの脱却を求める民主化運動の声が高らかに上がり、それを予感・反映するように社会批判、風刺の効いた作品が多く感じた。

そしてシュヴァンクマイエルの悪夢的でユーモラスな世界。
展覧会『シュヴァンクマイエル展 映画とその周辺』『魔術★錬金術 -ヤン・シュヴァンクマイエル、マックス・エルンスト、上原木呂展-』映画『サヴァイヴィング・ライフ―夢は第二の人生―』以来、3年ぶりに拝見した。
『アリス』に代表される、日用品と博物学的な品々をコラージュしてできた生き物たち。使い込まれボロボロのそれらは人の気配が付いているためか、付喪神のようだ。
以前の展覧会でもあった作品の幾つかを拝見。短編アニメーションが1編展示されていた。

ヤン・シュヴァンクマイエル『対話の可能性

男の顔が2つ、向い合っている。彼らの口からは日用品が飛び出す。一方からは鉛筆が出ればもう一方からは鉛筆削り、歯ブラシと歯磨き粉、パンとバター、といった具合に。阿吽の呼吸で展開する。
しかし最初は噛み合っている2人の会話は、ズレが生じておかしな事になっていく。挙句同じことを言い「出し」て、それも結局は噛み合わない現象になってしまった。
粘土でできた男の顔は不気味にシュールに変化する。そのブラックユーモアさが面白い。


子供向けのものから、アート系、社会風刺様々だった。
日本のアニメーションとは違う価値観が、斬新で刺激を受ける。
80年代の社会主義体制の閉塞感から民主化運動がいよいよ形になろうとしていた時代。
その社会の、クリエイター達が放った魂の慟哭を感じる。

充実した内容だった。

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