映画『世界侵略:ロサンゼルス決戦』感想

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世界侵略:ロサンゼルス決戦 [Blu-ray]

公式サイト:http://bd-dvd.sonypictures.jp/battlela/

“兵士の戦場での死生観”を考えさせてくれる映画だった。

物語はエイリアンの攻撃により、前線に残された民間人の救出任務を担った小隊の軌跡。
侵略しに来たエイリアンを打倒する米軍兵士というヒーロー視点ではない。
『ブラックホーク・ダウン』に通じるものがある。
利己的な上層部の指令に翻弄されてしまう戦場の兵士が「俺達は兵士だ。どんな命令であっても、命令を遂行するしかない」という主旨の台詞が印象的だった。

『ロサンゼルス決戦』では結果として1人の民間人と6人の若い隊員を失う。
困難な状況で最善と判断しても部隊の兵士を死なせてしまうことに苦悩する隊長。
「自分が代わりに死ねば、と何度も思う。だが生き残った」
そう言うと、今まで失った隊員達の名前、階級と識別コードを諳じる。
生き残った者は死者達を忘れない。
そして命令に従いながら兵士を生還させるために戦う事を再び決意する。

記録映画を思わせるハンディカメラの映像や、市街戦で兵士達と同じ目線のアングルに臨場感があった。

尺の問題か、後半が駆け足でヒーロー映画の典型的な展開になったのが残念だが……

もう一つ興味深かったのはエイリアン襲来の動機。
目的は水である可能性が高いという。
『宇宙戦争』は地球の土地そのもの、『ID4』では漠然と“資源”と言われていた。それが具体的に“水”という、実は生物にとって重要で、宇宙規模でみると希少であるものだった事が斬新に感じた。
大切な水――そこから環境問題についても考えさせられる。

思えばエイリアン映画は、現実問題へのオマージュだった。
欧州が行った植民地政策への皮肉が『宇宙戦争』
金になる資源を求めて自然を破壊し先住民を武力制圧をしてきた歴史を如実に語った『アバター』、それに近い命題の『第9地区』、戦うヒロインから女性の社会進出、ジェンダー論を見る『エイリアン』……

私はSFには哲学があると思っている。
そしてフィクションであるが故に厳しい現実問題を客観的に見る事が出来る。
直接表現出来ない事も言える。伝える事が出来る。
だからもっと評価されて良いと思っているのだが……

SF映画は“リアリティーが無い”“娯楽性が高い”という理由からアカデミー賞を取れないという話を聞いたことがある。『アバター』もそうだった。
この映画は『アバター』には遠く及ばない。だが、まぁ、良い物語だと思った。

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