エヴァンゲリオン大博覧会2022
未だに過去日記消化中…
東京・渋谷ヒカリエにて。
2022年7月15日(金)~8月26日(金)まで。
TV版終了後、その謎を呼ぶ最終回が話題となり、衝撃的な結末を迎えた(旧)劇場版。
その後、認知度を保ちながら人気は下火になるも、新たな劇場版が制作され、90年代からの古参に留まらず、新たなファンを獲得しながら日本を代表するアニメ作品のひとつとなった。
2020年、怒涛の完結を迎えた。
25年――四半世紀にわたって愛され続ける『エヴァンゲリオン』(以下、『エヴァ』)というコンテンツ。
それを支えたものは「モノ」と「コト」――ファンと作品を繋ぐ経済活動――だったと思う。
アニメと様々な企業コラボによる知名度の維持と収益化は、私の記憶ではこの『エヴァ』が先駆ではなかろうか?
オタクでも個人の資産で全てを網羅できない、四半世紀のグッズやイベントの集大成を、大博覧会として一堂に展示。
欲しかったけど手に入れられなかったもの、行ってみたかったけれど行けなかったものの現物が見れただけでも嬉しい。
ただ、そのアイテムの物量の多さに圧倒されて、思考停止してしまった…
写真にその様子を収めたくても、他者が写り込んでしまっていて、色々と掲載を断念。
博覧会の趣旨も現地で汲むに至らなかった。後でパンフレット等を読んで納得。
モノ(グッズ/アイテム)への偏愛
フィギュア
会場入ってすぐに、フィギュアやプラモデルといった“アニメ作品のグッズ”らしいアイテムの数々が陳列されていた。
TV版放映時――セル画時代――の、鼻と口が近く口から顎までの距離が長い(※1)フィギュアたち。
アニメもフィギュアもモデリングが可能になったためか、(良い悪いは別にして)顔のズレや造形師の個性が出るものが少なくなったように思う。
同じキャラクターでも時代によって変わった事が良くわかる。
そうしたアニメグッズの象徴のようなフィギュアにとどまらない。
ジャンルとしてはロボアニメで“格好いい”イメージの作品が“カワイイ”ともコラボできる。衝撃的だった。
キャラクターの造形を超えて、キティちゃんなど別のキャラクターとのコラボまで。
テディベアのシュタイフ社とのコラボにも驚かされた。
一般商品の立体造形物も様々なメーカー、ブランドからリリースされている。これはTVシリーズのスポンサーに大手玩具メーカーがいなかったことが大きく影響した。そのためスポンサーのセガと話し合いの上、各玩具メーカーにセガからのサブライセンスという形で許諾を出す体制をとることができたのだ。
『キミとエヴァのモノコトBOOK エヴァンゲリオン大博覧会 公式パンフレット』「フィギュアシーンを加速させた力」p.5
『エヴァ』の知名度だけでなく、様々なメーカーからフィギュアやアイテムが出ているビジネス面からの仕組みを知った。
アパレル
新劇場版公開頃からRADIO EVAといった独自ブランドやカジュアルファッションブランドとのコラボを行うようになっていた。
当時は「何故、服なのか?」と疑問に思っていたが、“好き”を発信するメディアとして、ファッションアイテムに参入した模様。
フィギュアや小物やアパレルなど作品の二次成果物であるグッズであれば、常に見えるところに飾ったり、身に付けて持ち歩いたりすることができます。グッズによって、より長い時間作品とかかわりを持つことができ、自分がそのファンであることをより強く、誇らしく感じる事ができます。また、他者に対して自分がファンであることをアピールでき、ファン同士の交流も生まれます。ですから、商品や企画を検討するときは、それがファンと作品の間を繋げられるような、またファン同士を繋ぐきっかけになるような「コミュニケーションツール」になるよう心掛けています。
『プロジェクト・シン・エヴァンゲリオン』ライセンス方針3 コミュニケーションツールとして p.172
キャラクターの顔や作中シーンが真ん中にプリントされているものもあったが、「NERV」の文字やサキエルの顔のみ、旧劇場版のラストと新劇場版の冒頭に象徴される赤い海といった、作品を象徴するものがオシャレにデザインされたTシャツには、知っている人が見ると「あっ!」と気づかせる……粋なものがある。
これらが可能なのは、『エヴァ』に一貫したブランドイメージ、ブランドカラーがあるためだと改めて思う。
初号機と言えば紫・緑、差し色のオレンジに代表されるように、機体だけでなくレイの水色と白、アスカの強い赤といった具合に。
中には意表を突かれる…私個人としては違和感を覚えるコラボレーションもあったように思ったが、公式パンフレットを拝読するとそこには一貫したコンセプトがあった。
アニメの世界観を壊さず。また、コラボレーションの場合はコラボするブランドイメージも壊さず。
その塩梅が上手いのだろう。
ただ…売り上げとして見た時、キャラクターの顔が入っていないと売れないという話があった(※2)が、その辺りはどの様に折り合いをつけていたのだろうか?
元々のブランドや『エヴァ』の知名度があるため、それを克服していたのだろうか?
UCCエヴァ缶
TV版で青葉シゲルが自動販売機で購入するシーン。
――全てはここからはじまった気がする。
歴代の缶がズラリと並んでいるディスプレイは圧巻。この缶が出ると「劇場版が公開される!!」という気分になったし、発売する度にワクワクしながら購入していた。
コンビニで特定のキャラばかり売っていた事が解せなかったのもいい思い出?
コト(体験)での没入感
コトは場所に赴かないと体験できない、体験する内容に価値がある。
この展覧会然り、今まで行われていた数々のイベントの数々…
イベントが行われる場所の魅力を踏まえ、『エヴァ』の世界観を崩さない。
会場での展示物はイベントで用いられたリーフレットなどの頒布物や痛車ではないレーシングカー、キャラクターをイメージしたレースクイーンの衣装など様々。
2020年『シン・エヴァンゲリオン劇場版』公開に合わせて、『エヴァンゲリオン×箱根2020』といったコト体験イベントがあったけれども、丁度新型コロナウイルス感染拡大の影響などで紆余曲折あり、私は行けなかった…
『エヴァンゲリオンと日本刀』展で、刀匠が本当に作ったロンギヌスの槍。
まさかここで現物を拝見できるとは!!
『エヴァンゲリオン展』沖縄での限定アイテムは紅型で表現された使徒をあしらったデザイン。格好いい。エヴァカラーの漆玉ネックレスも。
私は巡回していた時に沖縄にいなかったので、これを知ってしまって残念に思う…欲しかったなぁ…
他にも行けなかったイベントの数々。
あの時のもどかしい思いが復活してしまう……
だが、その片鱗を会場でも一部見れて、ほんの少し溜飲が下がる。
五感を刺激するという点では“味覚”が一番ダイレクトなのかもしれない。
アイスも販売。
初号機をイメージした巨峰&バニラ、使徒をイメージしたストロベリー&チョコレート。味は…まぁ普通。でも見た目がとにかくオシャレなので満足度がある。
レストラン街では5人のキャラクターをイメージしたメニューの提供があった。題して「暑さを乗り切る!夏のパワーチャージ作戦」。
私が食べたのは 168点心飲茶&薬膳鍋のアスカをイメージしたもの。
夏の暑さを撃退!麻辣&点心インパクトセット。辛かった。しかも、お腹が空きすぎてメインディッシュの写真を撮り忘れるという愚行を犯した…orz
博覧会、というだけあって、ついつい購買欲が刺激されてしまう。
趣旨が趣旨だもの。仕方ない。(←?)
ポストカードなどを束で購入。
こうして経済は回るのだ!!
昔のアニメのキャラクターのアゴが大きかったのは、セル画だとアゴごと口パクさせるのが面倒な作業だったからです。アゴを大きめに描くことで、別セルに分けて描いた大きく開けた口が顔に収まるように調整した結果、そうなったのではないかと思ってます。 pic.twitter.com/TXgMRUEVCD
— 横山健次 – アニメーター Kenji Yokoyama (@ky_anime_lab) July 17, 2022
(2024/3/31確認)
これなー…
Xだと多い意見だし俺もそう思ってる一人なんだけど、実際に売上出してみたらキャラ絵入ってる方が概念より全然多く売れててえーってなったっていう… https://t.co/oZK18o1iTb— 内藤譲二@ミクFES24 (@misachi01) March 13, 2024
(2024/3/31確認)
- 参考文献
- 株式会社カラー『プロジェクト・シン・エヴァンゲリオン 実績・省察・評価・総括』
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