DANTE'S INFERNO -LUST

白黒イラスト素材【シルエットAC】
JUGEMテーマ:ゲーム

ゲーム考察記。
結構さくさく進めるこのゲーム…難易度(現在Zealot)の設定の問題だろうか、『GOD OF WAR』よりもCSアタックが入りやすい。
さて、ミノス王を斃し、愛欲者の地獄へ。

肉欲の愛に溺れ、誘惑するものたちが堕ちる地獄。
愛欲の嵐、竜巻に揉まれる人々。その中に塔があるステージ。
婬猥なデザインが圧巻。

ダンテ『神曲』を読んでいて、この階層のラスボスはアッシリアの伝説の女王セミラミスとふんでいたのだが、違った。
参考:セミラミス(ウィキペディア)
どうやらクレオパトラらしい…確かに知名度もあるので、妥当か。
勿論、セミラミスも出てくるが。

この階層、ダンテにとって重要な場所でもあると思う。
それはベアトリーチェへの愛故に。
ベアトリーチェへの思慕はダンテの作品で指摘せずにはおれない。彼女との死別の経験が詩想の原泉となったのだから。
諸説あるようだが、ベアトリーチェが実在の女性ならダンテは横恋慕だろう。
それに起因する苦悩があるのだろうか。

それはパオロとフランチェスカがここにいる事からも感じられる。
絵画の主題としても残されている。中世史に残るスキャンダル。
そうさせたのはこのダンテ『神曲』に書かれているためだ。

ラヴェンナの城主の娘フランチェスカが政略結婚でリミニ領主ジョヴァンニ・マラテスタ(ジャンチョットとも)へ嫁ぐことになった。ジョヴァンニは勇猛だが、足が不自由で容姿は醜かったため、破談になることを恐れたジョヴァンニな、美丈夫な弟パオロ・マラテスタを代理人として結婚式を執り行った。
そこでフランチェスカとパオロは恋に落ちてしまう。2人の密会を下人の密告から知ったジョヴァンニにより、2人は殺された。

アングル《パオロとフランチェスカ》

アングル《パオロとフランチェスカ
幸福な2人の背後の醜男。それが登場人物としてだけでなく憎悪と次に起こる悲劇の寓意のようだ。

話を戻そう。
このスキャンダルを風聞したダンテは自身と比べたのだろうか?
相思相愛でも立場故に罪となり、地獄に在る魂。

あわれ幾度の樂しき思ひ、いかに切なる願ひによりてかれらこの憂ひの路にみちびかれけん
かくてまた身をめぐらしてかれらにむかひ、語りて曰ひけるは、フランチェスカよ、我は汝の苛責を悲しみかつ憐れみて泣くにいたれり’

(ダンテ『神曲 -地獄-』山川丙三郎訳)

それでも地獄の上層にこの地獄が存在するのは、“愛”が人を救う事もあるからだ。
その愛とは何か、それを模索する『神曲』は旅路でもある。

ダンテ『神曲』において、最も重い罪は“裏切り”である。
それは地獄の最深部にあることからも解ると思うが。
詩聖ダンテの経験がある。
パオロとフランチェスカの件は、ジョヴァンニへの裏切りが起因しているのだろうか。

ゲームのダンテは『神曲』のそれとは異なる理由を示唆している。
貞操を守ると誓いながら、自ら破るダンテ。それは裏切りに近い。
物語を進めて行くと、ダンテの罪が暴露されてゆくのだろうが、全ての罪は裏切りに帰結するのだろうか…
ゲームしながらダンテ『神曲』を読み直し、勉強する日々。
…結構有意義?

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