『biohazard DEGENERATION』メイキングセミナー

白黒イラスト素材【シルエットAC】
 昨日の話しではありますが。
『biohazard DEGENERATION』メイキングセミナー

biohazard DEGENERATIONa

映画館に観に行った作品である、という事もあって、聴講しに行ってきました。
畑違いではありますが、やはり3DCGにも興味があるので。
また、DVD発売前ということもあり。
映画感想については、以前の日記を…
『dawn of the dead/biohazard』
別映画の感想も含まれていますが、そこまでズレた内容にはなっていないと思います。

監督・神谷誠氏と、プロデューサー・小林裕幸氏をお招きしてのセミナーでした。
内容は大まかに以下のような流れ。

企画・設計について
作品設定・キャラクターについて
メイキング・制作秘話
質疑応答

カプコンさんが看板作品として掲げる、大ヒットゲーム。
ゲームである以上、作品を制作した人の主観だけでなく、ゲームをやった事があるユーザーへの
“思い入れ”があると思います。要するにキャラクターのイメージ。
制作された方々も、それを崩さないよう苦慮していらっしゃったご様子。
また、当時のポリゴンと今のモーションキャプチャ技術等を初めとするそれは比では無いので、実写ベースにしたキャラクター(特に主人公・レオン)の顔チェックが多かった、そして大変だったとの事。
ゲーム作品(主にバイオハザードⅡ)におけるキャラクターの衣装の色や髪型でイメージを喚起させる等、細かな部分で示したりしていました。

余談ですが、今回の映画のために新たにキャラクターデザインも描き起したそうですが、キャラクターデザインが、私が好きなアニメ『エルゴプラクシー(http://www.ergoproxy.com/)』の恩田尚行氏によるものでした…
それを聞いただけで舞い上がっていた私。

ゲームの世界観を大切にし、かつ設定を組む。
細部まで事細かく決めすぎず、かつ矛盾や嘘っぽくならないようにする。
それは大変な作業です。
冒頭ではちらりと、ラクーンシティ崩壊後の世界情勢が大まかな“報道記録”として垣間見れます。
説明的にならない所が見ている人を安心させるようです。

各キャラクターの設定や、それに基づくイメージの制作話は面白かった。
キャラクターの服装は実際にスタイリストに用意してもらい、そこから新たに描き起したそうです。
そうですね、ゲームとかに出てくる服は、現実世界に持ってくると、下手をするとダサいですからね…
私はキャラクターデザインを学んだ事は無いので、キャラクターの“性格”からそれを形に表すという工程は興味深いものでした。
心理学に通ずるものがあるな、とも。

そして本題。
“フルCGで映画を創るということ”とは?
「フルCGで出来ることを!!」
すなわち、(特撮を含む)現実では出来ないこと、ありえない事をする。それは映画の中で、空港に飛行機が突っ込む、
映画の終盤出てくるドーム型の巨大研究所は“可動式の建築物”といった具合に。
そして細かい所でもそれは反映されており、ここまで“リアリティ”を追及した表現でありながら、そこに「実際にある製品は出さない」でいたそうです。

更に余談ですが、『バイオハザードシリーズ』とくれば“ゾンビ話”
“リアルなゾンビ”を追求されたそうです。
小林氏が神谷氏におっしゃられた事は

『うちのゾンビは走りません』

これには心の中で大爆笑でした。
以前の日記にも書きましたが、最近の映画のゾンビは脚が速い。
会場でも小林氏がおっしゃていましたが、2002年以降…『28日後…(28 Days Later)』『ドーン・オブ・ザ・デッド(Dawn of the Dead)』以降、脚が速くなったようです。
しかし、それではない、理性・知性を失い、本能のままゆらゆらと動く死体。
ハイチのブードゥー教の元に、ジョージ・A・ロメロが昨今のゾンビ映画のルールを築きました。
そちらの“元祖”ゾンビ。
本当はもっとグロくしたかったそうです(笑)

最後にちょっと興味深い話を聞けました。
ストーリー上で、バイオハザード初めての“テロリズム”を扱った作品。
苦慮した点は多かったようです。
先にも書きましたが、“嘘っぽく”ならないように、現実世界で昨今報道されるテロリズム関係の情報以上のものを調べられたそうです。
国家予算規模であったり、どんな対策を政府がするか、といった事。
また“国家と宗教の扱いは大変だった”との事。
実際のものを出してしまっては、それはもはや娯楽映画では無くなってしまう…下手をすれば政治批判的なものになってしまう。(そして販売等に支障がでる可能性も有り)
某シューティングゲームで、マンチェスター寺院内部の再現がされ、その事でクレームが来たという話は記憶に新しいです。
何でも、冒頭に出てくるアメリカ大統領の顔が当初クリエイターが作ったものが、2005年当時の大統領そっくりだったり、軍事政権の将軍が某人物だったりと、色々あったようです。
勿論、やり直しになったようですが…

考えさせられる映画とは、現実を踏まえつつ、現実とは違うズレがあること、
それにより『娯楽作品』として安心して見ながら、見る側に考える余地がある事だと、判りました。

長々と書きましたが、非常に充実していました。
CGは仮想現実の世界ですが、そこに“どう現実を表現するか”を創作する。パソコン上だけで無い、現実にあるものを、それに目を向ける事を力強く言われました。
これはクリエイターと呼ばれる分野にいる人間が、意に留めるべきことですね。

追記:
写真チラシではDVD発売日が12/17となっていますが、12/26に延期になっています。
悪しからず。

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