牡丹と薔薇と
先週は桜が大分散ってしまったが、陽があるうちは暖かく、春になったのだと思う。
玄関を開けた時、外にあったパンジーの花が香しい事に気付く。
慌ただしい日々を過ごし、心が荒んでいるのがわかっていたので、花の香りが心地好く、満たされた。
そして季節を先取りして落語『怪談 牡丹燈籠』を聞きに行く。
三遊亭圓朝作の完全版。
それを六回に分けて上演している。
有名な「新三郎が牡丹燈籠を携えた令嬢・お露の霊にとり憑かれ死んでしまう」件は昭和の名人・三遊亭圓生師が編集したダイジェスト版。
この物語はお露の父・飯島平左衛門の仇討ちを果たさんとする奉公人の孝助の物語でもある。
仇討ちの物語と男女の物語が交互に上演される長尺の物語だった。
…………長い。
参考:三遊亭圓朝『怪談牡丹灯籠』
http://www.aozora.gr.jp/cards/000989/files/2577_38206.html
今回はその四回目にあたるので、途中から。
場面は下記。
第十三回 平左衛門討たせの場(槍の闇討ち)
第十四回 新三郎受難の場(根津清水谷の怪・上)有名なクライマックス。
第十五回 お国・源次郎出奔の場(孝助の婚礼)
第十六回 お峯・伴蔵出奔の場(根津清水谷の怪・下)
あらすじ
飯島平左衛門が妾・お国の不義を働いている宮野辺源次郎の家に生き、闇討ちをするも、返り討ちになる。孝助に飯島家の跡継ぎとすること、仇をとって欲しいと遺す。
お露とお米の幽霊から百両と引き換えに、新三郎の家の御札を剥がし身に付けていた御守りの如来像をすり替えた伴蔵とお峯。翌朝、新三郎の様子を見に行くと、新三郎は息絶えていた。
上記理由から罪の発覚を怖れたお国・源次郎、お峯・伴蔵は姿を眩ます。
一組の男女が死に、二組の男女が去った。
因果はさらに続き、収束に向かう。
……という所で落語は終わる。次回を乞うご期待!
途中でも充分楽しめた。(人物相関がわからなかったので、プリントされたあらすじを何度も読んでだが)
参考:『圓朝作品のあらすじ 怪談牡丹燈籠』
http://homepage3.nifty.com/nadokoro/kogai/botan.htm
その足で『アンティーク・プリント展』を見に行く。
昨年も開催されていたが震災の影響で伺えず、オーナーに再会。嬉し。
久しぶりに拝見したためか、コレクションが鮮やかに思えた。
ルドゥーテやロバート・J・ソーントンの薔薇に、すっかり気に入ってしまったウィリアム・カーティスのカタログの花々…
アンティークのボタニカルアートの魅力はデザインされている事にあると思う。それが記録を目的とした植物画に留まらないからだ。
(絵として花の魅せ方を凝らないと当時の顧客、貴族の方々は買ってくれなかったのだろう)
今回も時計草の版画を買おうと思ったのだが、別の版画に一目惚れ…
それについては別の機会に書く。今は長くなりそうなので止めよう。
牡丹も薔薇も、5月頃咲く花だ。
その頃に続きを書こうと思う。