映画『28日後…』感想

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公開当時から評判良かった映画。
『28日後…』
http://movies.foxjapan.com/28dayslater/main.html

『ドーン・オブ・ザ・デッド』『アイ・アム・レジェンド』に通じるものでは無かろうか。
勿論、これらとは似て非なる、独自の価値観をきちんと提示している。
断っておくが『ドーン・オブ・ザ・デッド』のようなゾンビ映画では無い。

お薦め映画。

さて、いつもながらの感想を。
多少のネタバレあり

まず思った事は“死体の文化”であること。
序盤の教会のシーン、避難してきたのであろう人々の死体が折り重なるようにある。
その他、道路に転がる死体等。それら死体のリアリティー。
死後1ヶ月近く経つそれらは、干からび、眼が落ち窪んでいる。あるものは鴉の食事になっていた。

文化ある所、死に纏わるものがあるのは当たり前だが、象徴としてではない死体が存在している。
キリスト教の最後の審判での蘇る死者達という宗教感もあってか、欧州では死体を残す文化がある。エンバーミングもそうした意思の表れだろうか?
日本では火葬の文化が定着しているし、土葬ですら死体は土に還る。死後長い時間を経過したものを直接眼に触れる事はない。

街に転がる死体に、そんな事を考えた。

しかし、この映画の根底にあるものは“凶暴性”ではなかろうか。
物語の始まりは研究施設からこの“凶暴性”だけを誘発するウィルスが市街地に蔓延した事だった。
感染者は何故か感染していない人間を殺す。
被感染者も恐怖に駆られ、感染しないために、生きるために感染者を殺す。

だが、そのウィルスに感染しようがしまいが異常な状態になると“凶暴性”は表れる。

篭城しながら「争う事は人間の本質だ」と説き、襲ってくる感染者だけでなく避難してきた一般人を殺し食料を奪う等欲望の限りの外道を行っていた少佐や、彼らに対抗した主人公の姿もまた等しい。
軍人に立ち向かう主人公の“凶暴性”はそれが生み出す尋常ならざる力についての示唆だろうか。

誰しも持っている“凶暴性”という狂気を抉る。
篭城していた館の玄関に、これ見よがしに置かれるラオコーン像のレプリカは、何を意味するのだろうか。狂気に身を捩る人間の醜態か?

“凶暴性”の連鎖の中にも違う道を示している。
“助け合い”である。凶暴性が“自分以外のものを排除する事で生きる”排他的な感情から生まれるものなら、それとは対を成すもので互いに生きる事が出来るという事ではないだろうか。

物語の最後に、逃げ込んだ高原で(感染者の恐怖が一段落した中で)救難捜索機に向けて彼らが布で作ったメッセージを向ける。そこに書かれていた言葉は

“HELLOW"

“help"では無いことが、象徴的であった。

以下、Web拍手レス


2009年11月25日 19時
2009年12月4日   4時
2009年12月9日   21時
2009年12月16日 6時

Web拍手有難うございます。

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