映画『Thor: The Dark World』感想

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公式サイト:http://studio.marvel-japan.com/blog/movie/category/mighty-thor2

前作『マイティ・ソー』と『アベンジャーズ』の敵役である、ロキが輝く映画だった。

この映画は人物の描写に力が入っている。
主役のソーは言わずもがな、ロキのキャラクター性が北欧神話のそれに近く感じた。

猪突猛進なソーが、策士のように仲間逹の得手を踏まえて作戦を練る姿。
その作戦には義弟ロキが裏切る事を踏まえている。
寧ろトリックスターである彼を活かした作戦だった。
その内容に、見ていて引き込まれた。

ロキの欺きは、人を貶める意外の部分にも発揮されることが描写される。

『アベンジャーズ』でマンハッタンを破壊した咎で、牢屋にいるロキにソーが面会に来るシーン。
養母フリッカの死に怒りから牢屋で暴れ、自暴自棄になっていた自身を幻覚で隠していた。
本来の姿がかれる瞬間、ギャップが心に刺さる描写だった。

北欧神話をモティーフにしているので、その世界観と関連させて観てしまう。
ロキは北欧神話の中でも憎めない神?だ。
彼は「欺き」だけでなく、「暴露の神」でもある。
「ロキの口論」罵倒に隠された意味?
http://www.moonover.jp/2goukan/north-e/loki4.htm

傷ついた己の姿を暴露するその瞬間、「神」と呼ばれた者達の不完全さが露呈される――
その衝撃はロキにふさわしいと思った。

『マイティ・ソー』に比べ、アクション要素は少なく感じるかも知れない。
それは前作と『アベンジャーズ』で描写されたので、今は語る必要が無かったのではないだろうか。

もうひとつ、SFの視点から、敵役ダークエルフという存在について。

闇の勢力であるダークエルフ逹は、 闇から生まれた存在であるが故に闇に還る事を望む。
それは何故か?

闇とは恐らく、光が発生する以前、ビッグバンによる宇宙創造が起こる前と解釈できる。

ビッグバンによって宇宙、物質世界が出来た。(そして肉体を持つ人間が誕生した)

ダークエルフにとっては光がある事は異常な状態であり、肉体を持って生きている事はやはり異常な事なのだろう。
それ故に戦闘で特攻する手段を選ぶのではないだろうか?

実際、彼らが使う手榴弾状の武器は、ダークマター(暗黒物質)あるいはブラックホール(極めて高密度かつ大質量で、強い重力のために物質だけでなく光さえ脱出することができない)のようなものだ。
ブラックホールとは何かについては研究途上だが、一説には重力収縮と言われている。
参考:暗黒物質(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9A%97%E9%BB%92%E7%89%A9%E8%B3%AA
参考:ブラックホール(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB

ブラックホールはダークマター(暗黒物質)に一部寄与しているものと解釈した上で、 ダークエルフがダークマターを使うのも頷ける気がした。

そういえば、最新の『ナショナルジオグラフィック』がブラックホール特集だった。
『ナショナルジオグラフィック日本版』 2014年3月号 星を食らうブラックホール
http://nationalgeographic.jp/nng/article/20140219/384439/

NATIONAL GEOGRAPHIC (ナショナル ジオグラフィック) 日本版 2014年 03月号 [雑誌]

重力で収縮されるその先にあるものは何だろうか?
その状態はビッグバン以前の状態ではあるまいか?
偶然見たドキュメンタリーで、ビックバン以前の宇宙は密度の高いリンゴ大の物質だったという。
また、ダークマターは膨張する宇宙を抑止する作用があるのでは、と考えられているそうだ。
そこから重力収縮の先は、そうしたものではないかと、夢想してしまう。

私には、娯楽映画の裏側にある、神話と宇宙について想像を膨らませてしまう映画だった。

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