映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』感想

白黒イラスト素材【シルエットAC】
JUGEMテーマ:SF映画 一般

映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』チラシ

公式サイト:
http://godzilla-anime.com/

前回、ゴジラ史上最大の大きさのゴジラ――ゴジラ・アース体高300m――との邂逅により、壊滅した対ゴジラ戦術部隊。

もはや対抗手段が無いと思われていたが、人類最後の希望としてあのメカゴジラが起動する。
ディザーポスターのメカゴジラはデザインが刷新され、メカというよりは鋭利な刃物を重ねたようなデザインが斬新だった。

とはいえ、発見したメカゴジラは二万年のゴジラに合わせた体高(50m)……一体どうやってそれを用いて戦うのかと疑問に思っていた。

デザインが刷新されたゴジラはナノメタル――自律思考金属体――でできており、ゴジラと共に二万年の時間を経ていた。
ナノメタルはゴジラ・アースの遺伝子から生まれた亜種を迎撃し取り込み、自己増殖をしていた。
まるで共に進化して対抗手段を身に着けたニホンミツバチとスズメバチの関係を想像してしまう。

ナノメタルを手に入れた主人公・ハルオたちは、史上最大のゴジラとの戦いに挑む。

戦略は前作と同じだが、規模が違う。
前回の調査隊は装備を揃えて挑むが、今回は装備を造る所から始まる。
前線でゴジラの動きを予測しながら進め、刻々と変化する事態に合わせ、必要最低限の装備で出撃する等、リアリティのあるものだった。

自然の地形ではなく、人工物――ナノメタルによる増殖都市――が作り上げた対ゴジラ戦を目的とした巨大要塞。

自己増殖した巨大な空間は人工物のようなのに、何処か有機的な印象もある。

その造形に映画『プロメテウスを想起された。造形が似ているのではない。その空間が醸す雰囲気が似ている。
冷たく、全てを飲み込んでしまうような、圧迫感がある、同じ造形の反復。
ナノメタルに取り込まれた、逃げ遅れた人間の遺骸からも。

ナノメタルは人間をも取り込み、同化することができた。

ナノメタルを造り出した人型異星人・ビルザルドたちは自らの意思でナノメタルと同化し(人間では無くなってまで)、特攻してゴジラ・アースを斃そうとする。

命令を遂行し、敵を撃破することは兵士として正しい。
だが、行き過ぎた合理主義、スポ根、感情の否定がたどり着く、未来の無さ――人間存在の否定。
「ゴジラを斃すためには、ゴジラのようなものにならなければならない」
そういう考えに至ったビルザルドの人々は、人としての生を否定する。

その言葉に、私は平野耕太『HELLSING』の吸血鬼アーカードが言った、「化物を斃すのはいつだって人間だ。人間でなければいけないのだ!」という慟哭を思い出した。

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人であることを棄てることを望まなかったハルオの行動で、ゴジラは斃せず、またしても犠牲を払う……ただしゴジラが齎した破壊ではなく、追い縋った“毒”――フツアの少女はナノメタルをそう呼んだ――によってもたらされた、人間としての存在の危機だった。

衛星軌道上にいる帰還した人類からの支援も期待できない上に、ビルザルド達を殺害したのが人間のハルオであることで、船内で暴動が起こってしまうのではないだろうか…現状維持を望む人間と老人ばかり残っているあの船内の人々に、未来はあるのだろうか?

もう一つの人型異星人・エクシフのメトフィエスは、故郷を滅ぼした怪獣をギドラと呼んでいた――次作ではキングギドラが来てしまうのか!?
エクシフに予言をもたらす石の存在とビルザルドの力を借りて復元させた聖遺物のようなコインがある。メトフィエスはギキドラの来訪を知り、毒には毒を持って征すという考えのもと、邂逅させようとしているのだろうか?

怪獣惑星となった地球に残った人類の末裔と思われるフツアの民。
公式サイトでは“昆虫の遺伝子”とあった。
残った人類が生体工学をもって生き残る術を身に付け、適応したのかと思った。

だが、フツアの民と彼らの里にいた人間たちにだけに着いていた、キラキラしたものが燐粉だという……そのキーワードで想像してしまう。
それってモスラではないか?

特撮でもモスラと意思疎通ができる小美人は双子設定だった。
フツアたちの会話のなかで“怪獣に挑み敗れた存在”があり、“卵”が残され、そこからの応答を待っているようだった。
特撮のモスラが孵化する前の卵の発見から始まるように、もしかしたら次作で“卵”が孵るかもしれない。

もし、ゴジラ、キングギドラ、モスラが現れるのなら――
かつての三つ巴映画へのオマージュは、二万年の時を経て戻ってきた人類と、二万年の時を共に地球にいた人々に、どんな結末をもたらすのか。
とても楽しみだ。

メトフィリスが持っていた、聖遺物のようなコイン。
不思議な図形だった。
これはエクシフを象徴する図形らしい。(前作では私は気づかなかった)
七芒星のような、しかし鋭角が互いに向かい合うようになっているため、十四芒星というべきだろうか?
図形として、非常に興味深い。

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