『怪談 乳房榎』
昨日、落語を聞きに行ってきました。
涼を求めて怪談落語。
大学生時代、お世話になった先生でもある。
遊興亭福し満 夏の独演会
演目『怪談乳房榎』
二夜完結構成で、今回はその第一夜。つまり、前半。『乳房榎』あらすじは下記参照。
第60話 乳房榎
「おきせ口説き」「重信殺し」から成る。
江戸の絵師・菱川重信は元武士。妻・おきせと真与太郎という赤ん坊と暮らしていた。
そこに弟子入りしたのが磯貝浪江。良く気がつき手先も器用で評判は良かった。
あるとき重信は寺の天井画を依頼され、じいやの正介を伴い泊り込みで描くことになる。
その留守中、浪江は横恋慕していたおきせにせまり、息子を殺すと脅して想いを遂げる。
それが二度、三度と続くうち、おきせは浪江に好意をいだくようになっていく。
しかし、重信が戻ってくれば、2人の仲は終わってしまう。
そこで浪江は重信が「戻ってこない」算段を考えた…
浪江は重信のところへ陣中見舞いと称して訪ねて行った。
天井画の雌龍、雄龍はあとは雌龍の片腕を描き上げれば完成と言うところだった。
浪江はじいやの正介を連れだして篭絡し、重信殺しを手伝えと脅迫する。
寺に戻った正介は有名な落合の蛍見物に重信を誘いだす。
大きな蛍が飛び交う中、飲めない重信に酒を飲ませ、上機嫌での帰り路。
浪江は重信を襲い、その命を奪った。
寺に逃げ戻った正介は、「先生が狼藉者に殺された」と報告するが、重信は普段通り絵を描いているという。
不思議に思って覗いてみると、ちょうど最後の雌龍の片腕を描き上げ落款を押しているところである。
「正介、なにをのぞく !」との声に驚いて倒れると、明かりも消えた。
明かりを点けて中にはいると、そこに重信の姿はなく、落款はまだべっとりと濡れていた……
「怪談牡丹灯籠」「真景累ヶ淵」と並ぶ」と並ぶ三遊亭円朝の代表的な怪談噺の傑作との事。
前半は怪談というより、人情物語である。
信頼と横恋慕、礼と非礼、我欲から道を外した者が撒く罪が次第に膨れ上がってゆく様。
その展開は『四谷怪談』に通じるものがあるのでは無かろうか。
主な舞台になっているのは、前半が高田砂利場村の大鏡山南蔵院、
後半が練馬赤塚の松月院で、ともに今でも現存している寺院です。
(大鏡山南蔵院,松月院)
両寺院とも『江戸名所図会』に掲載されており、恐らく円朝師は
この本から物語の着想を得たのでは無いかと思います。遊興亭福し満 怪談乳房榎(ごあいさつ)より
落語の中には、土地の銘菓や酒、肴の描写もふんだんに現れる。
福し満氏がそれらを美味しそうに表現するものだから、聞いているとお腹が空いてしまう……
落雁、甲子の七色菓子、馬場下町の料亭・花屋での刺身、焼き魚などが入った付合せ物…
落語を聞いていると、情景が目に浮かぶ。語る描写が絵のようであるのも、それが一因なのかも知れない。
今はビルや家屋が多くある土地も、江戸の時分には片田舎の寂しいところだったようだ。
蛍もいたのかと、思いを馳せる。
幻想的なその描写も、浪江の暗殺計画を知る正介は、蛍を人魂に見えると語る。
暗闇に浮ぶ淡い光の、美しさに畏れる。
何故か打ち上げに同席する私。
落語についてのお話も少々…
落語の筋書きは書として学ぶものではなく、口伝らしい。
落語はやはり娯楽なのだ。
いよいよこれから、という時に次回へ続く(To be continued)となる。今回の様に。
観客の期待を煽り、そして次の寄席にも来てもらう。
先生曰く、「『24』のはしり」。その通りだと思い、日本のエンターテインメントも、まだまだ捨てたものでは無いと思った。
という訳で?次回、乞うご期待!!
…となるのだが、次回、再来週の公演は行けないかも知れないorz
何だか中途半端になってしまうのが残念なのだが…
お近くの方、興味のある方、涼を求めて怪談落語は如何でしょう?
~次回公演~
処 :世田谷区宮坂区民センター
日 時:8/22 6:30~
木戸銭:無料
以下、Web拍手レス
8月4日 23時
Web拍手、有難うございます。