ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END
まだ過去日記消化中…
六本木・森アーツセンターギャラリーにて。
2023年2月3日(金)~4月10日(月)
2019年、世田谷文学館で開催されたものに行かれなかったので、嬉しい限り。
緻密な描き込みと、動物をコラージュしたキモカワ?なデザインが魅力的な作風。
森アーツセンターギャラリーでの展示は、世田谷文学館での展覧会よりも、500点近い作品が追加されていたとの事。
GUCCIとのコラボレーションアイテムの展示もあった。
- 1. 驚異の部屋
- 2. ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END [Higuchi Yuko CIRCUS] 2023 チラシ2
- 3. ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END 2023 屏風、掛け軸など。
- 4. ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END 2023 ヨーロピアンアンティーク風雑貨
- 5. ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END 2023 映画のオルタナティブポスター
- 6. ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END 2023 映画のオルタナティブポスター原画
- 7. ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END 2023 映画『シャイニング』
- 8. ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END 2023 《博物蒐集家の応接間》
- 9. ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END 2023 ひとつめちゃんのタコライスとスリーガールズのサーカス苺ミルク
- 10. ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END 2023 GUCCIコラボアイテムと原画
- 11. 映画
- 12. 白黒の寓意と奇想
- 13. 創作すること
驚異の部屋
展覧会は"CIRCUS"と銘打ってある。
実際、サーカスのような楽し気で珍奇な存在に出会える雰囲気。マイルドな見世物小屋にも思える。
だが、私個人が受けたイメージは、乙女心溢れるヴンダーカンマーだった。
動物たちをモティーフにしているのと、図鑑の挿絵のようなリアリティある描き込みが、そう感じさせるのかもしれない。昨今のキャラクターデザインのような簡略化したデザインとは真逆の絵。
それ故、ヴィクトリアンスタイルの私室を彷彿とさせる。
緻密な描き込みをされた絵皿やオリジナルファブリックの椅子たちは、アンティークな雰囲気を醸している。
…そう思っていたら、和……日本的な作風のものも。
二曲一双の風神雷神図屛風のオマージュ、洋犬をモティーフにした狛犬、掛け軸など。
これらをしつらえた空間でお茶会(日本式、英国式両方)をしてみたい……と思ってしまうのは、私だけだろうか?
映画
映画のオルタナティブポスターとその原画も展示。
最新のものから古典名作まで、何処か毒のあるホラー、ファンタジー映画たち。
私も観に行った『ミッドサマー』、コラボアイテムが可愛かった『LAMB/ラム』など。
意外だったのは、どの原画もとても小さかった――A4以下だった――こと。
小さな原稿なのに、ポスターに(大きく)しても遜色ない事に驚き!
ポスター以外にも『シャイニング』のホテルをイメージしたミニチュアなどがあり、見たことがあったり好きな映画作品があると嬉しくてニヤニヤしてしまった。
この日記を書いている時に、大島依提亜との対談集『映画とポスターのお話』が出版されていた。……また積読が増えた。
白黒の寓意と奇想
2017年4~7月に開催されていた、ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展に合わせて描かれた、ピーテル・ブリューゲル――(父)ではなく、今はⅠ世と表記するのか――の版画にインスパイアされた作品画群。
その原画を拝見できるとは…!
写真を撮れなかったけれど、私は「バベルの塔」展は行けなかったし、ブリューゲルも、一部モティーフが使われているファン・エイクも大好きな画家なので、感無量…!
ブリューゲルの版画は格言や教訓をユーモラスに――それでも訓戒ゆえに何処か世紀末的――破滅の不穏さを湛えている。それに気づかない人間の無知蒙昧さのような。
しかし、ヒグチユウコさんの手にかかると、その破滅が当たり前に…むしろ“気にしない”で享受している雰囲気になっている。
創作すること
映像作品も展示。
この展覧会のために描きおろした、メインヴィジュアル『終幕』のタイムプラス。
制作過程が分かるのは、完成された作品を鑑賞するのとは違う面白さ……ヒグチユウコさんは何を考えながら制作しているのだろう?という好奇心を掻き立てられる。
横長の大作が左側から描かれはじめていった事が印象的だった。(素人な私だったら、右側から描きだしてしまうから。でも左側の一つ目の擬人化された花は絵全体の中で、ひときわ存在感を放っている。)
このヴィジュアルが、チラシにも使われている。3つ折りでA4サイズになっているが、そのため左側の一つ目花が裏面?側になっているのがちょっと残念……
もうひとつはギュスターヴくんのストップモーション・アニメーション。
沢山のギュスターヴくんたちが遊んだりいたずらしている中、1体だけ己の道を歩むように絵を描き続けるギュスターヴくんは、ヒグチユウコさん自身の姿であるように感じるのは、短絡的な発想かもしれない。
何か物語があるようで、自分が描きたいものが自然に出てきているだけなんです。古典の絵画作品にあるような象徴的なポージングやシンメトリーなところなどは最近描いているものに影響されているのかもしれません。
MOE (モエ) 2023年3月号 [雑誌] (ヒグチユウコ 魅惑の展覧会)p.8
作品点数の多さに、ただただ圧倒された。
外に向かって、鑑賞するものに主張するような、巨大なカンヴァスに描かれた大作ではなくても。
鑑賞していると内に籠るようなミニマム?なサイズは日本作家的……日本人の空間意識に合致するからだと思うけれど。
紙モノグッズを購入し、THE SUN & THE MOON(Cafe)でのコラボメニューも堪能。
ひとつめちゃんのタコライスとスリーガールズのサーカス苺ミルク。
ヒトツメチャンのつぶらな瞳に見守られながら、舌鼓を打つ……
テーブルもヒグチユウコデザインになっているので、展覧会を見た後でも気分がアガった。
お皿付きメニューは注文するとお皿を1枚頂けたのだが……人気がありそうな、カワイイのはあっという間に無くなってたな……