夜想ヴィクトリアン展 Ⅰ
parabolica-bis
http://www.2minus.com/
~11/25まで
雑誌『夜想』#ヴィクトリアン発行にあわせた展示会。
雑誌に掲載されている絵画・写真の本物を拝見できる、非常に嬉しい機会でした。
ヴィクトリア調、アリスなどをテーマにした作品群。
七戸優
《Invitation》
時計ウサギとボブスタイルのアリス(ルイス・キャロル氏のイメージのアリス)。中央にウサギが掲げている時計は、まるでアリスに催眠術をかけているかのようです。
はっきりとした画風の中で、二人の視線は交差してはおらず、それが余計に全てを漠然とした、曖昧にしているようです。
《A Moment》
中央に本を持ち、椅子に座ったアリス。その側――宙にウサギ。
本の文字を指し示した、静止したアリスと、動的な要素を持ったウサギ。その相反する緊張感に惹かれます。
[HP]http://www004.upp.so-net.ne.jp/maboroshi-cafe/
トレヴァー・ブラウン
アリスをテーマにした連作。可愛らしくポップでありながら、ダークな作風。キノコに鎮座するイモムシのシーンをモティーフにしたもの達。
花と蟲、そして少女。
髑髏の蟲は死者の魂、眼球のついた花は黄泉路に咲くもののように思えました。その中で生きた存在である少女は、対の概念の象徴、そして憧れです。
[HP]http://www.pileup.com/babyart/
丸尾末広
いわずもがな。大正・昭和アンダーグラウンドアートを髣髴させる作風。彼の描く“ヴィクトリアン”は切り裂きジャックやメイド、虐げられる残酷さを、その色彩豊かさでオブラートに包みながらも鮮やかに表す。
秋山まほこ
この方の人形は、2004年の「球体関節人形展」で拝見して以来でした…
最も、今回は写真ですが。
あの時は、金魚の赤のイメージが強かった…
今回は、花。《アマリリス》《オールドローズ》少女のあどけなさとエロティシズムを感じます。
[HP]http://www16.plala.or.jp/mahokodoll/
山本タカト
新作を拝見出来て、感無量です。
《アリスの選択》《アリスの悪い夢》
和風の顔立ちで金髪の少女。残酷さの中で平然としている、冷酷で愛らしい少女は思春期のイメージ。
パトリック・ライアン、高木由利子《双子のアリス》
布製のマスクが印象的です。
モノクロの写真が、懐古趣味をより顕著にしていました。
旧コナン・ドイル所蔵の心霊写真。
真偽を言及するつもりは毛頭ありませんが(笑)図像的に神秘的です。
不気味さ、恐ろしさよりも、守護霊・守護聖人、そういったものへの信仰を連想します。
この展示会は、“ヴィクトリア時代”そのものではなく、日本におけるゴシック文化を通した、“ヴィクトリア”という言葉からのインスピレーションから生まれた作品群です。
それは、幻想愛とも言うべきでしょうか。
19世紀末――科学万能を唄った時代を経て、しかし解明出来ない現象や、環境汚染の問題…“科学不万能”である事が明るみになり、次世紀への希望と終末への不安のあった時代。
目に見えないものを感じる時代。
それは今も継承されているようです。