大正イマジュリィの世界 デザインとイラストレーションのモダーンズ

白黒イラスト素材【シルエットAC】
JUGEMテーマ:展覧会
大正イマジュリィの世界 デザインとイラストレーションのモダーンズ

会期終了まで間近であったので、慌てて行く。
今日までであった訳だが…
渋谷・松濤美術館にて。
http://www.city.shibuya.tokyo.jp/edu/koza/11museum/tenrankaisyosai.html#15

イマジュリィとは
“イマジュリィ”とはイメージ図像を指すフランス語で、挿絵・ポスター・絵はがき・広告・漫画・写真など大衆的な図像の総称として用いられている言葉です。いわば近代芸術観において周辺部にあったイメージ図像といってよいでしょう。(大正イマジュリィ学会より引用)

「複製図像(イメージ)」の総称であるという。
展示されているものは大正期の本の装丁など、冬至の“デザイン”の現場だった。大衆の、人々の生活に深く浸透している100年前のアートの展覧会。

しかしそれらは作家らの抒情的なものを含んでいた。
二部構成で第一部は有名な藤島武二、竹久夢二を筆頭に時代を象徴する13人の絵師(イラストレーター)達の紹介。

私がここで一番見たかったのは、小林かいちと橘小夢。

小林かいちの世界―まぼろしの京都アール・デコ

小林かいちは4年ほど前に本が出版され、注目された木版画家(?)
謎が多いのも魅力になっているかも知れない。
彼の描くシンプルでも存在感の在る線や構図、そこにふと表れるキリスト教的意匠が神秘的で惹かれる。
色合いも優しく、私好みで惹かれてしまうのだ。
ミステリアス、哀愁に満ちた作品だった。
参考:『保科美術館 小林かいち常設展示』
http://www.hoshina-museum.com/kaichi.html

橘小夢

以前雑誌で《地獄太夫》を拝見し、おどろおどろしくも美しさがあったそれに魅かれてしまった。
会場ではカラー作品は《水魔》が展示。
水の中に沈むような裸婦。眠るような表情はやはり“睡魔”にもかけているのだろうか。それは夢(もしかしたら死)への誘い。河童が裸婦の尻のラインに沿うように張り付いている。人魚を連想させるそれ。エドワード・バーン=ジョーンズ《深海》を思い出させる。
他にもモノクロの作品も展示。《高野聖》など。ビアズリー、アラステアを思い起こさせた。

第二部は時代背景、テーマ毎のイマジュリィ(意匠)を紹介。
アールヌーヴォー、アールデコの影響を受けた植物意匠についてだけではなく東京の百貨店のイメージ戦略や震災復興をテーマにしたものを紹介。
その切り口が面白かった。

全体を見回して思ったのは今のデザインとの相違だった。
大正期のデザインは時代の背景もあってか、試行錯誤であったりそれこそアートからの複製図像があった。“自由”であり“教養”があったのではないかと思った。
昨今のデザインは大人向けと子供向けが完全に分かれ、目先の商業“売れるために目立つ”だけになってしまったのではないだろうか。
皆に愛されるものを作り普及させる、アーツ・アンド・クラフツ運動や夢二の理念をふと思い出された。

今回の図録、一般書籍としても販売されている。

大正イマジュリィの世界―デザインとイラストレーションのモダーンズ

図版は小さいながらも、今回の展覧会の作品の殆どが掲載されていた。
デザインの参考にもなりそうなので、購入。
ノスタルジックな雰囲気に眺めてうっとりしてしまう。

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