遠藤織枝×YUCA 『女書:アート×学術の連歌』

白黒イラスト素材【シルエットAC】
JUGEMテーマ:美術鑑賞
遠藤織枝×YUCA 『女書:アート×学術の連歌』

Gallery efにて。
http://www.gallery-ef.com/
2010/5/9まで。

浅草へ行った際には必ず足を運ぶようになった倉ギャラリー。
今回もまた、素敵な展示会が行われていた。

恥ずかしながら、私はこの『女書』というものを初めて知った。
『女書世界』遠藤織枝(研究家)
http://homepage3.nifty.com/nushu/

中国湖南省江永県の女性たちの間のみで用いたという独特の文字。
封建社会の厳しい性差別の中で、教育を受けることも意思を表明することも許されなかった女性たちが独自の文字を創り出した。

こうした女流文学が中国にあることにも驚いた。

女性によって発明された文字、それを用いた文学――
日本における平仮名の成り立ちに近いものを感じた。

細い漢字に似た書体の詩文はグラフィックとしても美しい。

『三朝書』という、契りを結んだ姉から妹への歌。
相手を気遣う言葉は書体も相まって優しく読み手の心に響くものがあった。
姉妹の愛、家族への愛、哀歌――

貴重な文献の公開の他に、女書をイメージした、インスタレーション、空間作品の展示。
YUCA
http://homepage.mac.com/xyucax/
倉の薄暗い空間を、僅かに照らす光を受けて、天井からつり下がるビーズがきらきらと輝いている。
赤い色は女の涙とその整然と並ぶ粒は女書の文字と呼応しているようだった。

今はこの文字を自然継承する人はいなくなってしまったという。
義務教育の普及、女性の識字率が向上したこともその要因のようだ。

言葉は霧散する、書かれた文字は留まる。

しかし書かれた言葉もまた、使われなくなるとそこにある意味を後に見出だすのは困難になることを実感した。

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