ボストン美術館浮世絵名品展

白黒イラスト素材【シルエットAC】
JUGEMテーマ:美術鑑賞

ボストン美術館浮世絵名品展

ボストン美術館浮世絵名品展
http://ukiyoeten.jp/

遅ればせながら、行って来ました。…いつも期間ぎりぎりで。
時間軸に合わせたその展示の並び方は、日本美術初心者状態である私にとって非常に解り易いものでした。
海外に、浮世絵の素晴らしい作品が多く流出した事は承知していましたが、この様に一挙に展示されるとそれを実感します。

初期浮世絵から幕末期までを網羅的に展示。
総花的とはいえ、流行の流れ、美意識の変化、絵師と彫り師と刷り師の表現技術の変遷を概観できる。
どの作品も状態が良い。

私に予備知識が少ない上に、素晴らしい作品が多かったので…上手く感想が書けるかどうか… 

16世紀初頭、墨一色で刷られた「墨絵」から、鉱物質の「丹」(酸化鉛)を用いた「丹絵」、そこから発展し

軽快な印象を生む紅を基調として筆彩色した「紅絵」。
江戸後期の藍色のイメージが強いのですが、初期の暖色系の色相は、少ない色の中で非常に目立つ、人の注意を惹くものがあります。

私事ですが、ウェブ上広告媒体を制作する人間として、容量や色相の限界から表現が限られてしまうので、その色合いの表現は学ぶものがありました。

初代鳥居清倍、二代目鳥居清倍、そして浮世絵の創始者と呼ばれている菱川師宣らによって、広められていった。太い墨で輪郭が描かれているそれらは、現在のイラストの分野に通じるものを感じます。
斜め上から描かれた構図は、西洋の絵画にはあまり見られないと思います。

《げんじ五十四まいのうち 第二番 げんじ 帚木/第十八番 げんじ 松風》
源氏物語千年紀である今年、源氏物語を題材にしたものを見る事が出来るのは良い機会でした。
五十四巻から1シーンずつ取ったもののようです。展示されていたものは、そこから2枚。
切り取って、貼って使うものだったという。子供の頃遊んだ、付録のような印象。
こういった文学的なものが、庶民に身近なものに主題として行渡っていたことは矢張り誇るべき事だと思います。

幕末は色相豊かになります。浮世絵界の最大勢力となった歌川派の作品群。国政、国貞、国芳…

《『富嶽百景』初編》
「我が真面目の画訣この識に尽せり」まさにその通り。
自身の集大成として刊行した絵本。富士山を題材としたスケッチ集ですが、当時の風物や人々の営みを巧みに交えたもの。緻密な描写に感嘆します。
色はありませんが、筆の濃淡や今のコミックのトーンの様な表現…

《夜桜を見る二美人》
肉筆画は矢張り美しい…色の鮮やかさも素晴らしい、その保存状態の良さにも。
薄紅の衣装の美しさ。

図録は非常に良いものだと思いました。
装丁も、英文タイトルが施されながら、日本人に違和感が無いデザインだと思います。

知識の足りなさが悔やまれる…
もっと精進します。
色相に注視した感想しか出来ませんでしたが、学ぶ事が多い展覧会でした。
この感想はまた改めて…


会場で面白い話声が。
『100年プリントなんて、目じゃないね。』
現代の某会社のインクジェットプリンタ用インクのカラー保証の宣伝文句から。
なるほど、ここに並ぶ作品群は、300年前のもの。素人目で見ても、その色の美しさを実感する。
紙の時間による変色はあるものの、作品維持の暗い照明の中でもそれが理解できる。
もちろん、今のインクの発色がどの程度持つのかはまだはっきりしていません。
しかし、普通に持っているだけでは、3年前のものでも、発色が落ちているものもある…
流石、匠の技。
自然から創られ、受け継がれているものは素晴らしい…

以下、Web拍手レス


 Web拍手レス
11月3日  11時
11月9日  8時
11月10日 14時,16時,20時
11月11日 21時
11月16日 23時
11月17日 5時
Web拍手有難うございます。

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