線の迷宮・番外編 響きあい、連鎖するイメージの詩情――70年代の版画集を中心に

白黒イラスト素材【シルエットAC】
JUGEMテーマ:美術鑑賞

矢張り忘れないうちに書いておこう…うん。もう1週間になってしまうし。

もう1ヶ所行って参りました、目黒区美術館にて。
…あ、今日までだったのか。

響きあい、連鎖するイメージの詩情

70年代の版画集の展示。
しかし、展示されている作品群が膨大であった…

なので気に入った作品群について。いつも通り。

LEE U-Fan
オリジナル銅版画集『FROM LINE』
ただ線で連なる輪を描いているもの。
しかしこの絵が個人的経験と結びついてしまった。
文字を知らなかった頃、手帳にペンを走らせ、書いたものを知識の糧としている人の姿を見て、何か惹かれた。
習ってもいない文字を書こうとし、真似て文字のようなものを手帳に書いた。
それが“ただ線で連なる輪を描いているもの”だった。
似ていたのだ。

柄澤齋
『燭罪領<「七つの大罪」による』
小作品ながら、主題も主題だったので惹かれてしまった。
山羊頭蓋骨に添うように配された女体。
悪魔崇拝的なものと同時に、独自の解釈を施した表現。
寧ろクトゥルフ神話の神々の姿に似ていた。

柄澤齋
《肖像 part1》Portraits part 1
‘それぞれ単品による制作。作家同意の上、版画集の形で受け入れた’もの。哲学者、作家らの肖像。その中にフランツ・カフカがあった。向かって左目の部分に、小さなカフカの肖像がある――
入れ子のような表現に感嘆した。
丁度、コラージュの課題でカフカの作品を扱ったが、その際にカフカの肖像を使ってしまうとわざとらしくなってしまう…
そのため避けてしまったのだが、こんな表現もあるのかと。

小作青史
『VARIATION A/VARIATION B』
何枚ものリトグラフ(石版画)がフィルムのコマのように並ぶ。その中の人物像が変容し、男から女へ、単体が群像へと変容してゆく。
表現としても面白かった。動画のようであり、夢のようでもあり、人の繋がりのようなものを表しているようにも思えた。

……
何だかダラダラと書きそうというより、消化不良を起していた様に思える。

他、草間彌生の強烈な赤い斑点で出来たかぼちゃ等。

70年代は本当に版画の全盛期だったのだと思う。今のCGイラストのようなものだろうか。(1枚ずつ手で描くよりも)手軽に複数枚刷れるのも利点だったろう。

モノクロの線と点が主軸の世界。
故に見ている側は色を想像してしまう。
単純な光と影のみで構成された表現。
銅板、木版、石版によって、表現や雰囲気が異なってくるし、細部を見れば匠の技だと思う。

それが版画の魅力だと改めて思う。

欲を言えば…
版画の種類・製法のパネルが解りにくかった事。
変な話、写真と文章を見てもをしているのか、よく判らなかった…
私の読解力が落ちているのか…
子供にもわかり易く、楽しませようとする意図が随所にあった。

凄いコレクションの数々だった。

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