北川 健次展 午睡の庭-繁茂する蕁麻の緑陰の下で

白黒イラスト素材【シルエットAC】
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北川 健次展 午睡の庭-繁茂する蕁麻の緑陰の下で
日本橋髙島屋 6階 美術画廊Xにて。
http://www.takashimaya.co.jp/tokyo/event3/#os5244
~2015/11/9まで。

立体作品が多く展示されていた。アンティークやヴィンテージなど年季の入ったマチエールの存在感。まさに付喪神だ。


ブルゴーニュの王妃マリーの分類された白い骨盤

マチエールで 歪んだ、不思議な形の石?を注視してしまう。
その石の窪みには、小さな詰められている。 “骨盤”という単語から位置的に子宮を連想させられ、妊婦のイメージになる。それは祝福されたものというより、石女や 賽の河原の石積みに繋がってしまい、 悲観的なものになってしまう。
他にも“腹に詰められた石”と考えると、『赤ずきん』『狼と7匹の子やぎ』などを思い出してしまう。

ブルゴーニュ公女マリーは若くして亡くなってしまったという。妊婦だった折に落馬して大怪我を負い、流産し自身も死に至ってしまったそうだ。
少し調べてみると、政略結婚ではあったものの、仲睦まじく、1男1女をもうけ幸せな結婚生活だったらしい。(※1)

Romeー或いはラトゥールの夜に

トランプを手にした人物像が向かい合って配されている。それだけで カードゲーム(賭け事)での駆け引きをしているように思える。
トリミングされているので、人物の顔が見えない分、隠された思惑を想像させられる。
その側にある群像には野次馬のように集まる人々を連想させ、タイトルから画家ラトゥールの《いかさま師》(※2)を思い出された。

静かなる肖像ージョイスのために

顔は切り取られ、見えない。
黒い服と腕のみの人物像。 人物像の側には紙袋、背景には手紙が配されているが、何か手紙が届きそれを人物が読んでいるような想像をする。
それはもしかしたら、訃報の手紙ではないかと……

テルヴォーの小部屋

陽の光が差し込む薄暗い部屋の床に、腰を下ろしている様に配された半裸の女性。
トリミングで画面の外に頭は隠されてしまっている。
首のない胴体は、事件性を強くさせる。
それは凄く見覚えのある――ジャン=ジャック・エンネル《荒地のマグダラのマリア》の身体ではないだろうか。


今回の展覧会の平面コラージュ作品に、私はマチエールの元の絵画の主題の方に意識が引っ張られてしまっていた……
それを足掛りに作品を解釈しようとしてしまったのが自分で残念でならない。

立体作品の中にドライフラワーが入っているものがあり、意外だった。今まで無かった様に思う。
最近、花の写真を使われる事がおありだったが……

後はサイコロを使われているものが多かったので、それに注意が向いてしまう。
意味は無いかも知れないが、見えている面の合計や数字に『5』を意識させられてしまう。
デューラーの《メランコリア》(※3)を思い出す。それに通じるものが込められているのかもしれない。数字に意味があるという数秘術や、錬金術的なものではないかと。
アンドレ・ブルトン『シュルレアリスム宣言』『魔術的芸術』然り、分解と再構築というコラージュの錬金術的要素に改めて想いを馳せる。

最近、続けて敬愛するコラージュ作家らの作品を拝見する事ができた。
シュヴァンクマイエル氏の作品が魔術・錬金術的なら、北川先生のコラージュは文学・詩的だと思う。

北川健次先生 公式サイト:
http://kenjikitagawa.jp/

  1. マリー・ド・ブルゴーニュ(Wikipedia) 2015/11/6確認
    https://ja.wikipedia.org/wiki/マリー・ド・ブルゴーニュ
  2.  サルヴァスタイル美術館『ジョルジュ・ド・ラ・トゥール-いかさま師(ダイヤのAを持った)-(画像・壁紙)』 2015/11/6確認
    http://www.salvastyle.com/menu_classicism/latour_tricheur.html
  3.  鏡リュウジ『第2回 デューラー《メランコリアⅠ》にしかけられた魔法』2015/11/6確認
    https://art.flagshop.jp/column/detail/479
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