7月上旬の展覧会巡り
両方とも、終わってしまった展覧会であるが。
やはり書いておこうと思う。
『平竜二 「Vicissitudes – 儚きもの彼方より」』
恵比寿・シス書店にて。
http://www.librairie6.com/
写真、プラチナプリントの展覧会。
シルバープリントよりも繊細な描写が可能であるという。
モノクロームの世界は被写体をに懐古的な印象を与え、見るものを非現実の世界へと誘ってくれた。
参考:プラチナプリントとは
http://www.godbrain.com/seki_gallery/pla.htm
《tanpopo #5》
円形の金属板の上にたんぽぽの綿毛が乗せてある。
綿毛は球体を保っており、円形が重なりあう、続くような安定感のある構図に安心感があった。
何より崩れていない綿毛の球形の造形は繊細で美しく、プラチナプリントがそれをより引き立てているように感じた。
『うす羽の幻想 鏑木昌弥展』
練馬区立美術館にて。
http://www.city.nerima.tokyo.jp/manabu/bunka/museum/
青い翼の何かは、ルドンが描いたスフィンクスやクノップフのサテュロスを思い出させた。
青い色彩の絵画達は霊感に溢れ、時代毎の作風の変化は、私にはリアルタイムに反映された美術史の様だった。
鳥のイメージが強かった。
女性の胸像の頭の上や傍に、鷺や鳩の姿。物憂げな、あるいは思慮深い表情の女性たちに霊感を与えているような気がした。
鏑木昌弥氏の作風は、多岐にわたりながらも、青い色味と翼、鳥をイメージさせるものが多く展示されていた。
もちろん、今回の展覧会名にある“うす羽”の儚さ、幻想があった。
そこに氏の自由と飛翔の情景のようなものが見いだせそうな気がした。
美術館では別の展覧会も。
『N+N2011展』
日大藝術学部美術学科の展覧会。「生命をみつめる」をテーマにした作品群。
そこで昆虫の標本を使った作品に惹かれる。
蝶や玉虫の羽に歯車や金属パーツが付いている。
それは機械仕掛けの昆虫か、命の仕組みを可視化したような雰囲気があった。
生物と無生物、有機物と無機物が不思議と合致していた。
…コラージュのようだった。