シュヴァンクマイエル / 草間彌生 / 透明標本

白黒イラスト素材【シルエットAC】
JUGEMテーマ:展覧会

友人とデートしてきましたアート巡り

『シュヴァンクマイエル展 映画とその周辺』

原宿・ラフォーレミュージアムにて。
http://www.lapnet.jp/event/
~2011/9/19まで。

『シュヴァンクマイエル展 映画とその周辺』

私が最も関心があったのはコラージュ作品。
異質なものの組み合わせで出来たコラージュオブジェ達。

鉱物学的なヌートリア
輪切りの齧歯目の内蔵は鉱石の塊となっていた。無機質な鉱物が生々しく思えた。
自然史のキャビネット 7
烏の頭蓋骨を持つ長い背骨の生き物の骨は、卵を抱えている。鳥と蛇、骨と卵。
相対するものの融合のような存在は生と死を想っているようだった。

…こうしたオブジェを拝見していると、海外のゲームなどでエネミーグラフィックはパーツが連なったり、融合の仕方が斬新だと思うことが多いが、きっと彼らはこうしたものが身近にあり、それを肌に感じることができるのだろうと思った。

前回の展覧会にも展示されていた、感覚主義というコンセプトで製作された紙粘土が貼り付けられた作品は一部触れる事ができた。
感触、その刺激を楽しむ。
鑑賞、シュヴァンクマイエル氏がどの様に制作されていたのかと想像してしまう。

‘映画とその周辺’という副題が指す通り、今回の展覧会は新作映画に合わせたもの。
新作映画の絵コンテ、今までの映像作品に使われた小道具や撮影風景の写真展示もあった。
映画『悦楽共犯者(99′)』に出てきた男性用の自慰マシーン…
会場に響く年期の入った機械音とテレビ画面から流れる女性の喘ぎ声…
その奇妙な組み合わせがオルガリズムを表現していると思った。

エロスの追究、それは何か?
新作『サヴァイビング・ライフ 夢は第二の人生』も主人公の男性は夢の中で会う女性に恋をする。
人は現実では満たされず、不満を持っている―ー

私たちの欲望を充足することであるなら、自分自身の内部深いところで、もっとも基本的な人間の欲望は絶えず充足されているはずです。それこそ自分自身の人生を生き延びるということなのです

シュヴァンクマイエル

人はそれ故に夢をみるのだろう。

会場には故エヴァ・シュヴァンクマイエル女史の作品も展示。
チェコ国における狼の再繁殖
クレヨン(パステル?)で描かれた力強く、鬼気迫る複眼の赤い狼。
激動の時代を生きた国とそれを感じ取った感性豊かな女性の作品だった。

出版されたばかりのラフカディオ・ハーン『怪談』のための挿絵コラージュの原画も展示。
怪談
怪談
妖怪画とアンティークの版画の融合。
トリミングがとても素晴らしかった。
違和感がない。
人型に抜かれた妖怪は異国でその役目を果たしていた。

会場の最後には写真家・細江英公氏が撮影したシュヴァンクマイエル氏のポートレートが展示。
これは今発売されている雑誌『プリンツ21』にも掲載。
prints (プリンツ) 21 2011年秋号 特集 ヤン・シュヴァンクマイエル [雑誌]
prints (プリンツ) 21 2011年秋号 特集 ヤン・シュヴァンクマイエル [雑誌]


『草間彌生展 -Kusama’s Body Festival in 60’s』

青山・ワタリウム美術館にて
http://www.watarium.co.jp/

『草間彌生展 -Kusamas Body Festival in 60s』

60年代の作品。エネルギーに溢れていた。
乱立する水玉模様のファルス。
水玉という柄の起源については諸説あるが、水玉模様はスペイン語で"Lunares"
これは"Lunar(月、黒子)"の複数形。“セビリアの女性の美しさの象徴=ほくろ”から来ているらしい。
そうだとすれば、この女性的な柄のファルスは男女融合のイメージが強くなる。

会場ではアートイベントでのボディペインティングの様子が上映。
無修正オリジナルバージョンだった。
鏡張りの部屋に人種も様々な男女がいる。
極彩色の水玉が施されてゆく彼らは鏡の無限空間と反復する水玉模様も相俟って、溶けて混ざってゆくようだった。


新世界『透明標本』展

表参道・Bazar et Garde-Mangerにて。
http://bazar-et-gm.com/

新世界『透明標本』展

以前から関心があったので、拝見出来て嬉しい。

魚の標本にしても、普段食卓に上った時には解体されてしまうものが、こうして本来の形状を維持していると、色んな事を意識させてくれる。
個体差、種類毎の形状の違い、造形の美しさ――

大変だったという、エビの標本。
外骨格、甲殻類の形状維持は薬品に浸け過ぎると蛋白質が膨張して破裂してしまうそうだ。
色や形が綺麗に出る、保つ事は大変らしい。

手元に一つ置きたくて相場を知りたかったのだが、それは変動してしまうそうだ…良いものがすぐ出来てしまうこともあれば、手間がかかる事も多いため。

良い、と思ったものがあるならば、即決した方が良さそうだ。


今回のアート巡り、エロスとタナトスを強く感じさせるものとなった。
快楽を求める、性的衝動、骨格標本…
やはり、というべきか…

充実した1日だった。

PVアクセスランキング にほんブログ村
大容量無料ファイル転送サービス【ACデータ】