夜の図書館 -オブジェ、ルリユール、人形 三人展
神楽坂・アユミギャラリーにて。
http://www.ayumi-g.com/
~2010/12/8まで。
以前通っていたコラージュ教室の生徒さん方の3人展。
北川先生の影響を受けつつも、女性の感性が存分に発揮されていた。
三者三様の形があった。
津野冬佳
「人形/人間」
写真コラージュ作品では人物のものを使い、人形制作をされていた。それらは人体への関心の高さが感じられた。
《マヌカン》
少年の人形。
そのボディ部分は布製で、手足と頭部はビスクのようだった。
ちぐはぐであるような、その“人形的”な造詣が、強く人を意識させた。
《聖タルシウスの殉教》
めり込んでいる金具は人物彫刻の首部分で、絞首刑かその類の拷問具を連想させられた。
聖タルシウス…私はこの殉教者の逸話を知らなかった。
少し調べると、3世紀~4世紀前の頃、牢にいる信徒に聖体を届ける途中、異教徒の群集に襲われ、聖体を守って死んだ少年だという。
オルセー美術館に、その彫刻があった。
川上恵美子
「文学」
ランボーの詩や製本の展示が、私にそれを強く意識させた。
詩的な作品。
《飛翔範囲のカテゴリー あした月の上で》
立体コラージュ作品。
青い色――クライン・ブルー、神秘の青だろうか。
木箱の中にはオウムガイのうずまきの上に少女、その下のガラスケースには
白い翼が入った青い靴。
それらを金具が結びつけて、上昇する造詣になっている。
それが作品を見る人を、上へ、月へと連れてゆくようだった。
吉岡 末奈子
「童話」
『不思議の国のアリス』を直ぐ連想させるウサギ、少女ら。
英文字の古書の文章が、かつて読んだ児童文学の世界へと誘ってくれる。
《月へ帰った男 -タルホ氏へのオマージュ》
私は最初、宮澤賢治のイメージを持ってしまったが、成る程『一千一秒物語』の著者へのものだった。
月を眺める男の後姿はその飛翔願望をよく表していると思った。
《Papilio protenor -訪問者》
少女の写真の上に配された蝶。
不意に迷い込んできた、訪れてきた蝶は、幻想を連れてきたようだった。
蝶が家の中に迷いこんでくるのは、「魂帰り」であるという。
そんなことを思い出した。
ギャラリーの雰囲気も好みだった。
レトロな一軒家をギャラリーをそのまま、改装したギャラリーは時間の経過から生まれる風情があり、非常に好みだった。