少年展
少年展
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高円寺 Galerie JUiLLETにて。
一瞬にして目の前から
消えた挑戦状
奇想天外・荒唐無稽
事件はもうすでに起こっていたんだ…隠された言葉たちに真実が見える
青い月が輝く夜に
僕たちはこの物語に
決着をつける…
…例によって好きな人形師さんが参加されていらっしゃるので……
作品は絵画の他にボックス・コラージュ。西條冴子さんの作品もこの中に。
まずは全体的な世界観の感想。
『スタンド・バイ・ミー』に代表されるような冒険活劇、江戸川乱歩を彷彿させる少年探偵など、少年の飽くなき探求/探究心の表現だった。
それは作中に使われる青(コバルトブルー、ウルトラマリン系)の色味にも反映されているように思われた。
それは先日の『少女幻想綺譚』とは対を成す、想像の内に在りながら世界、社会といった“外”の世界の未知への情景。
ボックスコラージュはその探究心が形となった標本箱の位置付けだった。
この展示会、もうひとつ面白い企画が。
展示作品全てにアルファベットが一つ隠されており、それを組み合わせると、少年が探しているモノの英単語が現れるという、見る人も楽しめる参加企画がある。
好きな、個人的な感想。
西條冴子《Secret Acrostic》
人形作品を展示されるかと思いきや、ボックス・コラージュ作品でした。西條さんの新たな表現方法に関心。
線の細い儚げな少年の球体関節人形。
二重の箱の向かって左下の隙間にチェスの黒いポーンの駒のようなものがあった。
これが駒なら、『鏡の国のアリス』を想像し、ポーンがクィーンに“成長”する事を思い出す。
もうひとつ、その形にストゥーバを思い出す。
仏教の宇宙観「空・風・火・水・地」を表す「宝珠・半円・三角・円・方」の形であるが…それは少し脱線するか?
“KDYBY!"とあり、チェコ語(だったか?)の"もしも"という意味だったと思う。それは少年の可能性か、彼の夢か?
写真撮影良いとの事だったので、パチリ。
個人的にも、コラージュ作品の参考に…
鳥居椿《目撃者》
この方の作品は、19世紀ヨーロッパ的…アンティーク風の作風が好みだ。
虫眼鏡を手に、シャーロック・ホームズのように“推理”をしている少年たち。その後の建物の影に、紳士の姿。彼は真相を知っている(あるいは犯人か?)ようだ。何処か緊迫感を感じさせる瞬間。
児童文学の挿絵のような作風に、懐かしさ、馴染み深さを感じ、魅かれる。
鳥居椿さまHP『少女解剖図鑑』
檜物美奈子《ちいさな証拠》
コバルトブルーを基調とした画面に、物憂げな少年像。
その指先から、僅かに赤い血が流れる。死にも近づくような危うい雰囲気が、少年像のもう一つの魅力を表している。
話は変わって。
ふと、甘い香りに誘われて、花屋で梔(クチナシ)の花を購入。
この香りを聴くと夏が来たと思う。
‘噎せかえるような花の香り’と言われると、真っ先に思い出す。
薔薇とは異質の濃厚さがあるその香りは、夏の陽射しと相まって、私を白昼夢へと誘ってくれる。