小田亜美 油彩画展
K.S.ギャラリー原宿にて。
http://www.hpi-j.co.jp/~ksg/
2/13まで。
この季節に、いつもこのギャラリーで個展をなさるので、毎年楽しみ。
朽ちたようなデリケートなカンヴァスに描かれた私的な世界。
現実を優しく包む詩的な世界。
ウサギ達は、昨年ほど丸っこくなく、少し大人びた印象を受ける。
緑をメインカラーに、アクセントに紫が入った絵具遣い。
懐かしい作品も掛けられていた。
『ブレーメンの音楽隊』を思い出させる。
大きなウサギの上に、小さな馬、その上にブリキのヒトガタ、更に上にキノコが乗っている。
大きなウサギはでっぷりとしており、その形状の変化を感じさせた。
それが作者の心境の変化である事も。
タイトルには《私小説》と《私想説》の2つがあった。
《私小説》は作者の日常であり、《私想説》は作者の想像であるという。
寄り添うウサギ達は常に作者の側にいるようだ。
以前の個展の時、緑に“自然”を連想させられると感じていたが、今感じているのはその自然が私的な箱庭であるという事だ。論拠は無いが。
今回のDMのデザインもおしゃれ。
額縁に沿うように配されたフォントや、絵とウサギ、人物に繋がるような緑色の毛糸が、“絆”を思わせるのだ。
ティム・バートン『アリス・イン・ワンダーランド』の公開も近くなっているので、“ウサギ”の象徴するイメージにより惹かれてしまう。
『不思議の国のアリス』然り、手品師のシルクハットから飛び出すそれ然り、ウサギという生き物は何かの先触れを担う事が多い。
日本でも、因幡の白兎が大国主命にヤガミヒメを妻に迎える事を先に告げている。
ウサギの象徴については、世界各地、文化によって解釈は様々であるが。
参考:"Rabbit/Hare is Trickster-Fear Caller"(ウサギ-トリックスター、豊饒のシンボル)"
http://translate.google.com/translate?hl=ja&langpair=en%7Cja&u=http://paganismwicca.suite101.com/article.cfm/rabbithare_tricksterfear_caller
このウサギ達も鑑賞する側には例外では無いようだ。