シャヴァンヌ展

白黒イラスト素材【シルエットAC】
JUGEMテーマ:展覧会

公式サイト:
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/14_chavannes/index.html
渋谷・Bunkamuraザ・ミュージアムにて。
~2014/3/9まで。

以前、オルセー美術館でこの画家の作品を見た。
印象派の作品が架かるエリアに、神秘的な作品という意外な印象があった。
ただ、私はフランス語が解らなかった、その作品が何を表しているのかが解らなかった。
その作品が来日しているので、楽しみだった。

この展覧会は、シャヴァンヌの壁画装飾に描かれたアルカディア(理想郷)を、下絵や縮小絵画から紹介するものだった。
そこには平和を理想郷とする、画家の切実な願いが込められていた。


下記は、リヨン美術館階段壁画装飾に関する作品についての感想。

シャヴァンヌ《古代の光景》
古代の光景
牧歌的な平安の中で微睡む人々。
眠りの中、夢から創作意欲は沸き上がる。
カタログによると、まだ神も女神もいない世界らしい。
だが画面右の遠景には女神が現れて、若者に彫刻のための槌を託している。
芸術の胎動が聞こえるヴィジョンだ。

シャヴァンヌ《諸芸術とミューズたちの集う聖なる森》
諸芸術とミューズたちの集う聖なる森
正に顕現した芸術のアルカディア。
私が覚えている女神の人数と人数が合わず、戸惑ったが(過去には12人とする場合もあった)、中央にいる3人の女性が建築、彫刻、絵画の擬人像だった。
そしてその周りにいる9人の芸術の女神達が霊感を享受してくれる。
参考:『MUSAI』
http://www.h6.dion.ne.jp/~em-em/page048.html
この画面には想像がもたらす充足がある。

シャヴァンヌ《キリスト教の霊感》
キリスト教の霊感
古代の神々からキリスト教に変わっても、画家達は霊感を享受し、描いていく。
フラ・アンジェリコ(天使の画家)を描いたのは、シャヴァンヌが彼を敬愛していたためだろうか。
もしかしたら、天使がキリスト教において啓示をもたらす伝令者であり、それを描く事が自身のアルカディアを表現する事と重なるためだろうか?

シャヴァンヌ《海辺の乙女たち》
海辺の乙女たち
オルセー美術館でこの絵が印象的だった。
解説によると、シャヴァンヌ独自のヴィジョンであり、神話主題からは離れたもののようだ。
この物憂げな3人の女性達は互いに関心を持っていない。
しかし3人の人物の配置は安定的な三角形で、何か関連があるのでは、と想像してしまう。
“Jeunes filles au bord de la mer"(Musée d’Orsay: Accueil)

因みに今回は来ていないようだが、オルセーで見た一番のお気に入りはこちら。
“Le rêve"(Musée d’Orsay: Accueil)


壁画を見にフランスへ行きたくなる。
フランスのパンテオン、パリ市庁舎にもあるそうだ。(市長しか通れない階段らしい)

アミアン・ピカルディ美術館の壁画《労働》は興味深かった。
画面右下に育児をする女性が描かれていた。
しかし、会場内で上映されていた映像解説からは、女性の労働(と言って良いのか?)としての育児ではなく、男性の労働によって次世代が育まれていく事を示唆しているようだった。
女性の社会進出が始まるのは、第一次世界大戦を経てなので、この頃にはジェンダー論はまだ唱えられていないか……

今年は第一次世界大戦勃発から100年にあたる。
シャヴァンヌは大戦を経験しないが、普仏戦争を経験し、理想郷に平和への願いを込めた彼の作品を、今、見る事に意義があると思った。

フリーペーパー『MUSEUM CAFE MAGAZINE』がシャヴァンヌ展を特集していた。
神秘的な作風に絡めてか、占星術師・鏡リュウジ氏の寄稿があった。
神秘的な視点を図像解釈以外から絵解きしている事が興味深かった。
公式サイト:
http://www.museum-cafe.com/

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