北川健次新作展 VICENZA 薔薇の方位/幾何学の庭へ
茅場町・森岡書店にて。
http://moriokashoten.com/
~2013/3/23まで。
こちらで開催されるのは4回目。この時期に恒例になっている。
気に入った作品について。
《Masqucrade ―あるいはサスキア・ファン・アイレンブルクの優雅なる肖像》
アンティークのパーツ(これはどうもミシンの部品らしい)が、横向き女性の肖像画の顔部分に配置されている。
失われた顔を補うように、アンティークのパーツの曲線が鼻の輪郭に沿っているようだった。
肖像画の豪華な耳飾りがアンティークと呼応し、一体感を深めていた。
この作品は坂本光『英国ゴシック小説の系譜 「フランケンシュタイン」からワイルドまで』の表紙を飾っている。
《或る街の広場の記憶 Vicenza 10 mai 1918》
反復する5という数字。
アンティークな雰囲気のなかで賽子のヴィンテージな、新しい感じの光沢が異質である。
この作品に先生は、子供の喧騒のようなイメージの話を仰られていたが、納得した。
私にとって「5」という数字は「真面目なくせに自由人」なので、それが本気になって全力で遊ぶ子供のイメージとリンクしたためだ。
《記憶の構図 マルセル・プルースト頌》
チェスをする2人の男性。彼らは考察している――記憶を元に?
正六面体の赤い線と、青い英文とそれを繋ぐ青い線。
張り巡らされ、それぞれが呼応するような配列が、それぞれに何に作用し、何を想起させるのだろうか。
立体コラージュが多く展示されていた。物質の力を強く感じる。
箱に入った作品群は、世界を個別にストックしたようで、内側に閉じられてゆく。そんな感じがした。
北川健次先生 公式サイト
http://kenjikitagawa.jp/