新年の挨拶に寄せて
明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願いいたします。
今年の年賀絵は着手が遅れたことも相まって、昨年末までに出せなかった旨、ご容赦頂きたく…
十二支の中で唯一伝説上の動物が当てられている辰。
特別な年に思える。
辰という字に「ふるう」「ととのう」という意味があり、草木の形が整った状態を表しているとされる。きっと暦の上では何かが大成される年なのだろう。
今年の場合、昨年の震災を筆頭に天災が多く、傷を負いそこから新しい一歩を踏み出したい思いが強い。
そんな今年の年賀絵に寄せた想いを備忘録としてしたためてみる。
《鯉の滝登りと昇り竜》
あまり知られてはいないのだろうか?
縁起物である『鯉の滝登り』と『昇り竜』の意匠は続き物である事は。
中国・黄河の上流にある滝、竜門を登ることのできた鯉は龍になるという「後漢書」党錮伝の故事から。
目標は数多あり、極めるは困難と思うからこそ、この意匠を描きたくなった。
《黒姫伝説》
日本にある竜伝説の一つ。
参考:http://www2.plala.or.jp/kurohime/densetsu.htm
私は『まんが日本昔ばなし』の『大沼池の黒竜』のイメージが強い。
これは――正直採用すべきか悩んだ。
この物語を平たく解釈すれば、昇華させた天災への人身御供の物語だろう。
しかし昨年の天災への衝撃も相まって相応しくも思えた。
因みに。
東洋の龍は空を“翔んで”いるのではなく“駈けて”いる。
雲に足をかけているのだ。
《ニーズホッグとフレスベルグ》
年が明けためでたい挨拶に縁起を担ぎたい。だが、西洋の竜の物語を取り上げるにあたり悩んだ。
大半が退治されてしまっている……
“ドラゴンは英雄と共に”在るのだが、それは“強大な敵”として存在しているためだ。
『聖ゲオルギウスと竜』『ラーンスロットの竜退治』然り。
そしてキリスト教文化圏では赤い竜は悪魔の化身である。
年賀状で干支が退治されるなど……言わずもがな。
退治されていない竜を求め、辿り着いたのがニーズホッグだった。
北欧神話において世界樹の根元に棲む竜。同じく世界樹の頂上に留まる大鷲・フレスベルグと共に古代北欧の宇宙観の一翼を担っている。
縁起ではないが、辰年に合わせて良いように思えた。今年は竜が支える世界という解釈から。
捕捉ですが中央の木は世界樹・ユグドラシルのつもりです…
参考:ユグドラシル(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%82%B0%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%83%AB
畏れられ、祀られ、退治される存在、龍。何であれ力の権化であった事は言うまでもない。
それについては沢山のサイトで紹介されているので割愛。
参考:『世界の竜伝説』
http://www.legend-of-dragon.com/
その力に肖りつつ、前進できる年でありますように。