宮西計三個展・「見世物小屋」或は「舞薹裏」

白黒イラスト素材【シルエットAC】
JUGEMテーマ:個展

『宮西計三・個展「見世物小屋」或は「舞薹裏」』

浅草橋parabolica bis(パラポリカ・ビズ)にて
http://www.yaso-peyotl.com/index_17.html
~2010/7/5まで。

宮西計三個展・「見世物小屋」或は「舞薹裏」

漫画家の個展。
ホラー漫画はその描写が素晴らしいと思う。
細かく書き込まれたおどろおどろしい文様を見ていると、やはり飲み込まれてしまいそうだ。

「見世物小屋」も「舞薹裏」も、人を楽しませる空間の影の部分であるイメージが強い。光の当たらない濃密な空間。

《魚屋の妹娘》
少女に沿うように在る魚、海産物。
容易な人魚のイメージに、見世物小屋の猿と鮒を付けて作られた人魚のミイラも思い出した。
絵の中のそれらは決して合成獣と化してはいないが、“見世物小屋”というキーワードからそれを想像させてしまう。

《バルザムとエーテル<未発表・未完成部分>》
可視化された世紀末耽美・幻想小説。
去勢された少年は天使のよう。それに魅せられる老医師の関係に、ヴェニスに死すを思い出した。

会場の片隅に、舞踏家・薔薇絵さんがいらっしゃった。
http://miyabara.exblog.jp/

作品のように、作品として存在していた気がする。
個展のタイトルからも、それは当然か。

薔薇絵さんは近付き難いオーラよりも、空間に溶け込んでいるように感じた。
華奢な身体に緩慢な動きをする、その身体に力が入っている。側で観ているとその集中力がひしひしと伝わって来た。
開眼されない瞼には何が写っているのだろう?
そんな事を夢想した。

人形展が別会場で催されていた。
『The Other Side ~拘束と解放~』
会場も作り込みが成されていて、興味深い。
会場に設けられたトンネルを潜る。
抜けると、そこに人形たちが棲む世界が在る仕立て。
その一連の流れは、異界への道行きを表していると思うのは、言わずもがな。

八裕沙さんの人形は、桜のイメージが強い。
(張りぼてではあったが)桜の幹、洞の中にいる女とそれを覗き込む男の童。赤い着物と赤い眼をしている。
赤いイメージが、私を想像の世界へと引き込んだ。
『桜の木の下には死体が埋まっている』という日本人の精神のルーツ。桜の花弁が薄紅なのは、その精神の血を吸っているためか。
ならば桜が散った後の、赤黒いさくらんぼは滴る血である――
そんなことを連想させた。
HP『LOTOPHAGOS』
http://yahiro.genin.jp/

林美登利さんの人形に息を飲んだ。
暗い部屋の中、何故かそれだけ「生きているもの」と錯覚してしまったのだ。
人間と等身大では無いにもかかわらず。
人形展でこうした経験をしたのは、本当に久しぶりだった。

それこそ、「見世物小屋」にて異形を発見する驚きのようだった。
BLOG『美登利のお人形ブログの入り口』
http://www2s.biglobe.ne.jp/~midoti/

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