Whilhelm Fon Pluschow/Boys~少年たち~

白黒イラスト素材【シルエットAC】
JUGEMテーマ:個展

 銀座でギャラリー巡り。

Wilhelm Fon Pluschow「19世紀末のアルカディア写真家プラショウの世界」

Whilhelm Fon Pluschow
「19世紀末のアルカディア写真家プラショウの世界」
ヴァニラ画廊にて。24日まで。
‘アルカディア的ヌード写真’を撮った写真家・プラショウの写真展。
グローデン、ガルディとともに“19世紀末裸像写真”の3大巨匠と呼ばれる。
中々見ることの出来ない、貴重なものなので、嬉々として行った。

おお、アルカディアの山羊の足の神よ!
この現代の世界はおまえを必要とする!

オスカー・ワイルド

古典絵画の如く立つ男女像。S字型に身をくねらせ、美しい曲線美を出す思春期の男女の中世的な雰囲気…
どの写真も魅了する。
セピア色の写真ではあるが、それ故に頭の中で色彩を想起させられる。地中海の白い家の壁や取り囲む草花。その中に成熟した男女、少女/女性、少年/青年の対比を意識させる構図はアルカディア(理想郷)の雰囲気を漂わせる。

イタリアの島々の古よりの血流を色濃く持つエキゾチックなジュビナイルたちのメランコリックな相貌を、プラショウはグローデンとはまたひと味違ったコンポジションで表現しているといえるだろう。

それは官能・退廃ではなく、牧歌的な世界での純粋な生/性の讃歌。
自然からかけ離れてしまった人間の、特に都会・街に暮らす人間にとっては理想の情景。
最も、生物として脆弱ともいえる人間が、裸のまま自然に放り出されても、自然の力の前には直ぐ死んでしまうと思うが。やはり理想郷なのだ。

アングラ・フェテッシュを謳うヴァニラ画廊では異色な主題だとふと思った。

写真の技術も貴重なものだった。
鶏卵紙プリント(albumen paper)
1850年代に開発され、20世紀初めまで使用された。
卵白に塩を混ぜたものを西洋紙に塗布し、その上に硝酸銀溶液を塗ることで紙の上に感光性の塩化銀が出来る。
現在は失われた貴重な写真史上の技法。

側にいた人の話によると、現在の写真技術で同じ雰囲気を出そうと試みても、この独特な柔らかい雰囲気のあるセピア色の表現は出来なかったとの事。

『ヴィクトリアン・ヌード展』でこうした写真に関心をもったのだが、日本ではあまり詳しい事は知られていないので、今回の展示会が新しい情報を知るきっかけになれば、と思っていたのだが、プラショウの略年しか知れず…
1880年代にイギリスの写真雑誌『The studio』にこうした写真を発表していたようなので、肖像写真家としての傍らの個人的趣味作品、という訳では無さそうだ。
芸術だった。

この写真家の写真集は出ていない様子。
今回の展示会で、何かカタログを用意してくれるかと思いましたが、それも無く…
しかし、滅多に見ることの出来ない“本物”は入場料を払って見るに充分値する。


Boys〜少年たち〜

第4回 Boys~少年たち~
銀座人形館(株)エンジェルドールズにて。25日まで。

少年をテーマに、四谷シモン、三輪輝子、中島みきこ、わたべりみ、Naruto、他、人形作家の作品を展示。

人形展ではないが、先日見た『少年展』とは異なる系譜の少年像が多かった。一言で言えば『王子』。
アンティークレースの施された衣装を纏った少年たちは、良家の御曹司や童話に出てくる王子。または『ポーの一族』のヴァンパイアの少年像の系譜だった。最近のものでは『黒執事』に出てきそうな…
最近の少年像はこういった傾向だろうか。
華奢で、中世的で、死に瀕したような…少女に近い雰囲気。
嫌いではないが、そろそろ別の雰囲気にある少年像を創る人に会ってみたい。

やはり四谷シモンの少年はその中で貫禄というか、別格だった。えくぼまで表現された、生々しさがあった。人形ではない人間。しかしそれは人間ではない人形。
人形の不気味さの原点を久しぶりに感じた。

会場の雰囲気は小奇麗で何となく落ち着きました。アンティークドール、オリジナルのキューピーにテディベア、そして恋月姫さん、吉田良さんの人形もありました。
『マリアの心臓』とは異なる、明るめの雰囲気ですね。

以下、Web拍手レス

6月9日  11時
6月11日 19時
6月15日 15時

Web拍手有難うございます。

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