勝国彰 個展
今日までだった…
銀座・ぎゃらりぃ朋にて。
http://www.geocities.jp/gallerytomo1998/
油絵で描かれた日本画。西洋油彩画とは異なる、暗めの画面は、日本の風土に合った色合いなので、眺めていると不思議と落ち着く。
そして、その世界観。
仏教的な、伝統的な主題が幻想的に描かれている。
その幽玄の美。
作品感想
《眷属》
この絵は、私が一番惹かれた絵だった。
前が肌蹴た中世的な童の手の甲の上には、小さな迦楼羅像が乗っている。
それを見上げる童の顔は半分が迦楼羅の姿に隠されているので、何処か不可思議な印象を助長する。
他の絵画に比べ彩度の高い赤い背景は、燃えがる炎の色のようで、静かな画面ながら、何か内に秘めた衝動があるように思えた。
《葛の葉》
恋しくば尋ね来て見よ 和泉なる信太の森のうらみ葛の葉
伝説の妖狐のこちらを真っ直ぐに見据える眼差し。
己の姿を見破られた恨みか、愛を試す姿なのか。そんなことをふと考えてしまう。
参考:『葛の葉物語』
http://www.ican.zaq.ne.jp/sinodanomori/kuzunohamonogatari.html
《鬼退治》
三つ目の鬼の首を足元に、鎧姿の童が立つ。その手に輝く日本刀は巨大に見える。
その姿に桃太郎物語を連想することも出来るが、周りに咲くのは斬首の花であるツバキ。
その花が果たして鬼にのみかけられるのか、何処か不吉さも匂う魔力のある絵画だった。
《いざ桜 散らばちりなむ ひとさかり――》
儚い生の輝きを詠ったものだろうか。
何の歌だったかと考えて、調べてみると伊勢物語異十五 のどけき春
の句だった。
下の句は‘ありへば人に憂きめ見えけん’
生/性の美しさ、その盛りの儚さと虚しさ――
参考:『伊勢物語 異 十五段』
http://teppou13.fc2web.com/hana/narihira/ise/old/ise_o215.html
《接吻》
子供二人が満月の下、頬に接吻をしている。静寂の世界での情愛。
何の花かわからなかった、ツル科の植物が、夜の帳のようで美しい。
日本の静的な美を、現代に見た。