前衛下着道 鴨居羊子とその時代

白黒イラスト素材【シルエットAC】
JUGEMテーマ:展覧会
前衛下着道 鴨居羊子とその時代

岡本太郎美術館にて。
http://www.taromuseum.jp/

下着が白いメリヤス下着しかなかった時代に、カラフルな色でナイロンの下着をデザインし、下着のショーや個展を開くという斬新な方法で女性の意識改革を行ったという、鴨居羊子。彼女とその時代に触発しあった岡本太郎ら芸術家・司馬遼太郎ら文人等との関係を探る展覧会。

鴨居羊子プロフィール
http://www.tunic.co.jp/yoko-kamoi.htm

会場中央に、下着のディスプレイ。
カラフルな下着から、実用性を感じない?紙で出来たスリップなど。それは女性の顔写真がプリントされていて、今のデザインタンクトップに在りそうだった。
とてもお洒落である。

展示会場には、主に鴨居によるイラスト、油絵が展示。
彼女の好きだったのであろう、野良猫や野良犬らと寄り添う、牧歌的な微笑ましさのある絵だった。サーカスのヴィジョンのものも。

何故、岡本太郎の美術館で?と当初思ったが、成る程、交流があったらしい。
岡本太郎による写真も展示。前衛的?な下着――モノクロ写真なの色は判らないが、パンティー部分が裂けている?スリップのようなもの――を身に付けた鴨居のポートレートだった。

そしてもうひとつ面白かった鴨居羊子が作った人形たち。
その人形を被写体に、細江英公が写真を撮っている。

細江英公《写真集『花泥棒』より》
手に乗る位のサイズの人形たち。廃品、家具の中に居たり、公園・空き地に居るそれら。ユーモラスであり、何だか…生々しいのだ。
まるで、生きているような。
細江氏の写真がより被写体を引き立てているようだが…
乳首まで描かれた粘土・布人形。それらの表情は同じものは無く、素朴さと個性に溢れていた。
‘細江は「人形というよりも様々な人間を連れて来られた感じがした」’と語っているが、その通りだと思う。
布人形は人肌に近い温もりがあるし、粘土――土は言わずもがな人間を連想させるに充分だった。

亀井文夫《記録映画『女は下着で作られる』》
女性の意識改革――
鴨居の活動を象徴的に撮った映画だろうか。
風船に括り付けられた下着が街中にやってくる。
女性等は最初、戸惑うがファッションとして、下着を楽しむようになってゆく。そんな展開だった。
「はたして新しい下着は新しい今日の女の魅力をつくりだしたでしょうか」

女性の意識改革は成されていると思う。
衛生面のアピールから白だけだったであろう下着も、“見えないおしゃれ”としてそのデザイン、カラフルさ、着けたときの着心地や見栄え等、今の女性はその重要性を認識している。

最近、『ちゅーぶら!!』というコミックを知った。
http://www.starchild.co.jp/special/chuubra/
「正しい下着の選び方・着け方」を知ってもらうべく女性用下着についてのうんちくコミック。(ちょっとエロ?)
こういったものが今はコミック化する事に、鴨居羊子の成した事は定着したのだろうと思った。

下着の在り方は大分確立されたのだろうか?
少し前には“見せる下着”というものも販売されていた。
エロスとして露出する事がタブーとされた下着も、隠される事は無くなるのだろうか。

下着に魅せられる。そこに女性の本質があるのかも知れない。
下着というものを通して、ファッション、社会におけるあり方、さらには品格も問われている気がした。

そんな展覧会だった。

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