〈記憶から失われたものたち〉吉岡 未奈子/コラージュ・オブジェ作品展
青山・サイト青山にて。
http://site-aoyama.air-nifty.com/
今日までだった……
『夜の図書館 -オブジェ、ルリユール、人形 三人展』以来だったので、すっかりご無沙汰してしまっていた……
久しぶりにお会いできて嬉しい。
以前の日記では“童話的”と書いた世界観。
ノスタルジックな博物学的意匠は、女性の好奇心を掴む。
気になった作品の感想など……(タイトル忘れてしまった…不覚。)
手を顔の前に掲げる女性の背後、斜め上には、赤いスカーフのようなものが配されている。
まるで風に煽られその手から飛んでいってしまい、最早彼女の手には届かない(見失われてしまった)もののようで、そうした物語を組める構図のため、哀愁を感じさせた。
箱の立体作品も多数展示。
鳥の翼を粘土で模ったものの下には小さな巻物が配され、その下には"SEALED DO NOT OPEN"とある黒い部品が。
それだけで『ヨハネの黙示録』の風景を連想してしまう。
表にも裏にも字が書いてあり七つの封印で封じられていた巻物で、封印が説かれると天使がラッパを吹き、災厄が訪れるという――
他にもコラージュに蜜蝋を塗ったものも。
まるで立ち込める霧の中にあるような幽玄さがあった。
あるいは重なった層の奥に見える、夢や過去の記憶のようにも思えた。
興味深かったのは感光性樹脂版を使った、コラージュ版画。
感光性樹脂版、それは子供向け科学教材や手作り雑貨などでオリジナルスタンプを作るキットとして親しんだものだ!
子供の頃の楽しい思い出も相まって、お話を伺っていて興奮していた気がする。
『バイロス蔵書票展』で見た、その製作工程が不明と言われる、フォトグラビュールにも近い気がする。
感光性樹脂版による版画制作の利点は、版を制作する時間と労力を省く事だろうか……
本物との差、本来のマチエールのシャープさを維持できるか等、色々気になる点も多いが、デジタルコピーとはまた違う風合いを生み出すと思う。インクを使ってプレスする行程があるなら、二つと同じものは作れないと思うため。
私もやってみたい!
そう思ってちょっと調べてみたところ、感光性樹脂版を使ったスタンプ制作キット、売っていた!!
http://letter-pre.com/
…A4サイズは無さそうなのが残念だが。はがきサイズが出来そうだ……
参考文献
武蔵 篤彦『ポリマー版画、感光性樹脂版による版画技法』
http://www.kyoto-seika.ac.jp/researchlab/wp/wp-content/uploads/kiyo/pdf-data/no32/musashi_atsuhiko.pdf
京都精華大学 全学研究センター 京都精華大学紀要 第32号 (2015年11月29日確認)